和歌山県立粉河高校・脇監督インタビュー

2019.02.13 written by SPLYZA Inc.

和歌山県北部、大阪府に隣接する紀の川市にある県立粉河高校。そこで世界史の先生として教壇に立ちながらサッカー部の顧問を務める、Twitterアカウント名わっきー(@kumaWacky)さんでもお馴染みの脇監督にインタビューを行いました。


「生徒が能動的にサッカーを学ぶことのできる画期的なアクティブラーニングツール」


ーまずはじめに脇監督の簡単な自己紹介と、現在のアプリの使用状況について教えてください。

脇監督:
和歌山の粉河高校でサッカー部の監督をやっております、脇真一郎と申します。普段は学校で世界史を教えています。スポーツは剣道を幼少の頃から20歳くらいまでやっていて、あとは大学時代に多くの競技を経験しました。働き始めてからバスケットボールの社会人チームにも所属したりしています。

現在SPLYZA Teamsは動画共有メインで使用中です。その場で「さあ始めよう」ではなく、事前に生徒たちに動画を見てもらって、予習というか下準備ができている状態でミーティングがスタートできるのは大きいですね。限られた時間の中でミーティングの質をかなり向上できています。やはり動画の共有が生徒のスマホで簡単にできるのは便利です。



ーSPLYZA Teamsを使い始めてチーム内に変化はありましたか?

脇監督:
客観的に自分達のプレーや現象を振り返る習慣がついてきたので、戦術ボードだけでは伝わらない感覚が身についてきていると思います。あとは下級生がトップチーム(上級生)の映像を見たりすることでボトムアップも図れていますし、選手のピッチ上での判断力の向上につながっていると思います。あとはミーティングでのグループワークでも活躍していますね。私が大事にしている「生徒自身が主体的、能動的に動けるようになる」というアクティブラーニング的な観点からも、非常に有用性が高いです。私が監督として伝えたいこと、例えば成功している場面や失敗している場面をピックアップして、タグ付け、コメント、書き込みと、監督としてやりたいことが全てできるので重宝しています。

具体的なSPLYZA Teamsを用いたグループワークのやり方ですが、2-3人のグループを作って、高校選手権やプロの試合のサンプル動画をうまく活用しながら、例えば守備の局面でどのようにプレスが成功したか、もしくは失敗したかの定性評価。そしてなぜうまく行ったか、うまくいかなかったかの議論を映像を見ながら生徒達に行ってもらいます。で、それを各グループごとに発表してもらうんです。「このチームはこのプレスに対して、このような工夫をして前進できたんだと思います!」といった感じで。

ーそれは生徒達も喜んでやるのではないでしょうか。

脇監督:
そうですね。かなりモチベーションを持って取り組んでくれています。高校生の時期ってどうしても形から入りがちだと思いますし、現象や盤面だけを追っていても理解は深まりません。その手前にある前提条件や原則を理解しないと、実際のピッチ上でのプレーには落とし込めないと思うのです。そういう意味でも、映像を使ってのグループセッションはとても効果的で、彼らも成長を実感できているようです。

私は指導者としてサッカー経験がない分、自分の経験則でものが言えないことを逆に活かせていると思います。サッカーの構造や原理原則からアプローチをするので、生徒への落とし込みもかなりロジカルに行っています。今何が起きているかを出来るだけ客観的に見極めるためには、やはり映像を用いての手法が最適解かと思います。チーム全体の成長曲線も間違いなく上向きです。



ー2019年の1年生リーグ戦でも和歌山県全体で2位と結果がついてきていますね。

脇監督:
はい。1年生が頑張っているということもあり、上級生のトップチームにも良い影響は出ていると思います。ただ圧倒的に差をつけられた試合もあったので、出来るだけそのギャップを埋めていけるよう、監督しても指導をし続けなければいけません。

ー粉河高校はスタンス的にオフェンシブ、ディフェンシブのような、はっきりとしたチームカラーはあったりするのでしょうか?

脇監督:
もちろん両方できるに越したことはありませんが、現在はどちらかというとディフェンスの方に力を入れていると思います。トーナメント戦で戦っている場合はまず失点しないことに重きを置くので、生徒たちに自信をつけさせるという意味でも、やはりある程度、勝ち負けの結果にこだわる必要は出てきますから。

現在は2名のトレーナーと1人の分析官がチームを手伝ってくれているのですが、試合の準備としては、例えば普段の試合だと4-4-2でプレスをかけてくる相手がほとんどなので、その4-4-2でのプレッシングを主体としているチームの成功例と失敗例の映像サンプルを分析担当に大量にオーダーしたりします(笑)。かなりの無茶振りではあるんですが、その映像を生徒達が見てどうやって相手の土俵に乗らずに、プレスを交わしてビルドアップしていくかというイメージを全体で共有してもらったりしています。できる限り多くの情報を映像を与えて、積み重ねていくというイメージですね。そして彼らには自主的に話し合ったりしてもらっています。もちろん、私もかなり口を挟みます。



ーそういえば、粉河高校は書き込み機能の使用頻度がかなり高く、現在150チームある全SPLYZA Teamsユーザーの中でも書き込み頻度はTOP5に入ります。これは監督のやり方が色濃く出ている部分だと思います。

脇監督:
このためだけにペンタブを購入したくらいで、最近はこれでも書き込みするのを我慢してるんです(笑)。自分は書き込み始めると止まらないんで。生徒全員が見るので、誤解があるといけない!と思って補足事項を書き足していくと果てしないというか。もちろん最低限の情報だけを渡したいのが理想なんですが、私も教職者なのでお節介なんでしょうね(笑)。でも、生徒達も私の熱量を受け取ってくれていますよ。このツールのお陰で、監督と生徒の間のコミュニケーションがとても円滑なものとなっています。

ー最後に今後のSPLYZA Teamsの活用方法や、チームの目標などについて教えてください。

脇監督:
最初に触れたようにまだ映像共有ツールとしての用途がほとんどなので、少しずつタグ付けなどを生徒達に自主的にやってもらえるようになればと思います。もちろん、ただ丸投げするだけだとタギングの基準がバラバラになってしまう可能性もあるので、ある程度ルールをまとめる必要はあるかと思います。チームの目標としては、やるからにはとことん上を目指すというか、負けるためにサッカーをやっている訳ではないので。日々の研鑽が勝利に繋がるというプロセスを、生徒達の成功体験として積み重ねていってもらえればと思いますね。毎日サッカーが楽しい!と思える環境づくりをすることが私の使命ですから。引き続き頑張っていきます。


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