【5年連続全国大会出場】鵠沼高校女子バスケットボール部・細木監督

2022.11.24 written by SPLYZA Inc.

2022年インターハイとウインターカップの神奈川予選で2冠、5年連続全国大会出場を果たした鵠沼高校女子バスケットボール部の細木監督にお話を伺いました。



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ーインターハイに続き、ウインターカップ神奈川予選優勝おめでとうございます。ウインターカップの予選を振り返ってみての感想を教えてください。

細木監督
ウインター予選期間中は、神奈川強化のためにもインターハイ出場チームとして「神奈川混戦のなか勝ち上がったチーム」という評価だけではなく、”ぶっちぎって勝つ!”と選手たちには言っていました。選手たちの自主的な行動表現や自立した練習、”ぶっちぎって勝つ”という言葉に対しての本物の取り組みがあったなと思いながら振り返ると、一朝一夕では作れない選手たちの努力の結果だなと思っています。

インターハイが終わってからの話に遡ってしまうのですが...インターハイの帰りに「ここまできた・ここまでしか来られなかった」という2つの言葉が私の頭の中に浮かんできたんです。「ここまできた」は5年連続で全国大会に出場していること。「ここまでしか」というのは1回戦で敗退したということです。鵠沼の監督としてこの言葉が脳裏に残ったまま8月を過ごしました。3年生の引退も決まっていたので新体制のスタートも同時で、「さぁどうする」の状態だったんですよね。

5年連続出場の中で、5年間ずっと選手たちが何かしらチームの歴史を変えてきてくれていましたが、5年目の今年は、「チーム力を作った学年」だと思っています。自分がプレーに関わらなくても本物の「for the team」で(鵠沼では「This is 鵠沼」と言っています)3年生が見本を見せてくれた尊敬に値する学年でした。そんな話をしながら新体制になりましたが、国体メンバーもいたのでその時既に始まっていた国体練習に行く組と鵠沼組で一体感がないままスタートしました。




ー国体組と分かれて新体制がスタートしていたんですね。

細木監督
そうなんです。鵠沼からは6名が国体に行っていました。”一体感”が課題と感じながらも、私から言うだけではクリアできないので実感させる体験をさせることが必要だなと。ウインターカップ予選は「チーム力を高めること」に全力を尽くして初戦を迎え、初戦後は「チーム力+α」と計画して予選を進めていたのですが、そこでSPLYZA Teamsが大活躍でした。






ーありがとうございます!「チーム力+α」ではどのように使ってくれていたのですか?

細木監督
スカウティングで活用していました。「オフェンス」のタグで絞って連続してみることによって、オフェンスの入り方や、困った時に”誰にボールを集める”など癖がすごく拾いやすかったです。私が一度指摘すると、今度は選手たちからも「この選手はこんな特徴あるよね」など発言がでてきて、連続して見られることで情報が整理されることがありがたかったです。

あと、「この人はこういうタイプの選手」と事前に分かっていたので安心して試合ができました。具体的には、プレーをしながら選択する上で大きな判断材料になりました。 試合の展開もイメージしやすかったですし、1番の山場だった試合に作戦通りに勝てた時は安堵でしたね。



ースカウティングでは具体的にはどのような活用だったんですか?

細木監督
Bチームの子たちがメインで分析をしてくれていました。試合が終わったと同時にSPLYZA Teamsで分析を始めて2試合目が終わった時には全員がSPLYZA Teamsで映像を見られる状態になっていました。チームの中での連携が取れているし、こちらから指示もしていないのに選手が取り組んでくれていたので、監督の私から見ても「すごい」と思っていました。

選手たちの「優勝する」という思いと、実際の選手の行動を見て、SPLYZA Teamsはその行動が表現しやすいものだったと思います。ただ、勝つために話し合っただけでなく具体的な情報が出てくるので。「私たちがこれをやればチームのためになる!」というBチームの子たちの思いの込められた活躍の場にもなりました。

予選前に感じていた「チームを一つにしなくては」という課題に対しても、あえて実感させる体験を作っていたことよりも、本当のチーム一丸への効果があったなと立証されましたね。決勝戦は一点の曇りもなく迎えられました。






ーチームワークが素晴らしいですね。

細木監督
Aチームがテーブルオフィシャルズ中に積極的に取り組んでくれていて、そこの連携はすごかったですね。

インターハイの時に、3年生でBチームだった子がシュートチャートなど手書きでまとめてくれていたんですね。ウインターカップの予選では3年生は引退していたのですが、そういう背中を今までしっかり見せてくれていたんだなと改めて感じました。それぞれ葛藤や心が折れたこともあったと思いますが、個人の感情とやるべきことの違いをしっかり分別できたということが「チーム力」になっていると思います。




ー「激戦区神奈川」で勝ち上がるための先生自身の指導のポイントやビジョンはありますか?「神奈川混戦」と言う評価を変えていきたいという話もありましたが...

細木監督
そうですね、イメージを変えたいとも思ってはいますがその中での指導のポイントでいうとアファメーション(*1)を大切にしています。自分ではコントロールできないことが必ず影響するのが人だと思います。どの競技もそうですが、バスケットボールも人が関わるものなので、人自身が育たないと。

特に高校生は未熟ですし、等身大でいいと思っています。ただ偽りではなく本物の等身大を育てていくということが私の指導のポイントです。○も×もなく「今の自分はこれ」を一緒に確認してあげるという感じです。ビジョンは、「”ここまできたけど、ここまでしか来られなかった”をどう変えるか」”ここまでしか”の結果を作ることと、神奈川混戦ではなくぶっちぎって勝つということもビジョンかもしれないです。




ー先ほどSPLYZA Teamsでスカウティングしたという話も出ましたが、映像を使った分析や振り返りは導入以前から取り組んでいましたか?

細木監督
はい、していました。YouTubeにアップしてLINEで「今日の動画です」と送られてきていました。






ー今までの映像活用文化とSPLYZA Teamsを導入してからの変化はどうですか?

細木監督
練習時間の短縮やイメージがしやすくなり、導入してから加速して強化できるようになりましたね。



ー普段SPLYZA Teamsはどのような役割で活用していますか?

細木監督
担当を決めるのではなく、全員が責任を持って担当できるように、私がその日のリーダーを指名します。リーダーに指名された人が割り振りをしています。試合に出た出ない関係なく責任持って取り組める仕組みにしています。私からの指示がないときはマネージャーがやってくれています。



ー選手自身が映像分析に携わることで効果はありましたか?

細木監督
明らかに変化したのは”気づき”が増えたことと、気がついたことを流さなくなりましたね。映像から見た気づきを現場でも実践的に活用しています。選手たちが他人に対しては、変化させるようにしていますし、自分のプレーも修正しようとしているので、いくつにも繋がっていく原点にある”気づき”が磨かれています。

最初は見えていなかった部分も自分自身の分析や先輩の分析を見て新たな発見を繰り返すことで、その先にも繋がっていっています。この気づきの部分で自分たちで取り組むことの価値があるなと思います。アナリストなど誰かに分析してもらうことで、自分たちでは見えていない気づきを得られるというメリットもあると思いますが...高校年代では、まずは”自分の気づき”が大切なんじゃないかなって思います。



ー映像の振り返りはどのように行っていますか?

細木監督
学校では90分のみの練習で、物理的に全体で振り返りをする時間はなかなか取れないのが現状なので、全体よりは個人で映像を見ることが多いです。ただ、”姉妹制”というものがチームにはあって、話し合いや共有が必要な時はその姉妹でそれぞれに時間を作って振り返りしてもらっています。全体で時間を取れなくても2人で見るのであれば時間は作れますし、そこで分析してもらっています。その中で全体に共有が必要なことは私から伝えています。






ー姉妹制の取り組みは面白いですね。学年の垣根を超えて意見が出たりもするんですか?

細木監督
そうですね。”姉妹”はペアなのでお互いに話さないと何も意見がでなくなってしまいます。ギブアンドテイクと必ず言っています。時期によっては3学年揃う時もあるので、2年生が3年生に話しているのを聞くと1年生も自分がいる意味がわかってくるのでその繰り返しで話せるようになっています。
1つの問題が起きた時にチーム全体で問題を抱えて影響があるより、姉妹で解決させたほうがコンパクトに解決できることもあります。姉妹で出た課題を発表させたりもしています。



ー具体的な活用法までありがとうございます。最後にウインターカップに向けての意気込みをお願いします!

細木監督
私たちが魅力としている”脚”を活かした新しいオフェンスをみせたいです。あとは、最近「未来と努力は楽しみしか生まない」と思っているので、ワクワクと楽しみしかないですね!

今後の目標は、「私たちのこの環境、このメンバーでしか咲かせられない花を咲かす」です。



ー今日はありがとうございました。皆さんの活躍を楽しみにしています。