東京成徳大学高校女子バスケットボール部・小林監督、キャプテン佐坂選手&分析リーダー加川さんインタビュー

2021.08.02 written by SPLYZA Inc.

昨年の冬はウインターカップにおいて準優勝という好成績を残した東京成徳大高校女子バスケットボール部。今回はそんなチームを率いる小林監督と、選手を代表してキャプテンの佐坂選手、そして分析リーダーの加川さんにインタビューを行っています。



ーそれでは小林監督、自己紹介をお願いします。

小林監督:
東京成徳大学高校女子バスケットボール部監督の小林です。監督になったのは、今年の1月からです。まだ半年しか監督をしていません。昨年までは遠香ヘッドコーチのもとでアシスタントコーチをしていました。


ー昨年の冬はウィンターカップ準優勝。今年は高校総体予選3位でした。それぞれの大会を振り返っていかがでしたか。

小林監督:
ウィンターカップは全てが上手くいったというか...試合もそうですけど、分析の面でもいろんなチームへのアジャストがうまくいきました。オフェンス面が特にです。それがうまくいったということは相手のディフェンスに対してどう攻めようかというところもうまくいっていたということです。その点はアシスタントコーチの立場からは自信になりました。逆に相手の攻めを止め切れなったところが課題ではあったのですが、去年のチームはスコアラーがとても多かったので、そのなかで取られたけど取ったというハイスコアなゲームが非常に多かったです。ウィンターカップはそういう点ではSPLYZA Teamsでの分析の力も活きたと思います。

総体予選は、チームがガラリと変わって、昨年は新型コロナウイルスの影響で中止となり経験していないので、ウィンターカップしかないと分かっていて始めたのですが、今年も1月から出来たかと言えば3月まで出来ずに、3月からスタートして4月5月に関東予選、6月関東大会、インターハイ予選という3本が一気に続きました。分析がどうこうというより、チームとして準備が厳しかったのと学校の制限もあって...。どこの学校もそうでしょうが。厳しい環境のなかでも生徒は一生懸命やったなというのはあります。

分析に関して対外試合が出来ない期間が長かったので、毎日チームのスクリーンイメージを撮って、それを練習前に分析して、今日はここを気を付けてやろうということを、私ではなくて生徒が輪番でやっていました。そういうなかで生徒自身も課題が見えてきていたので、分析という面では進むうえでの”進化”はしていると思いますが、これからの我々の課題は深めるほうの”深化”だと感じています。次のウィンターカップへの課題として、深めるほうの深化を頑張ってやっていきたいと思っています。




ー大会期間中のSPLYZA Teamsの使い方を教えてください。

小林監督:
次の相手があることなので、自分達の振り返りは正直あまり出来なくて、次へのアジャストとして、スカウンティングしているビデオから落としこんでそこにアジャストしていっていました。ファーストチーム、セカンドチームがあるので、セカンドチームにそれをインストール、分析して仮想の相手に見立てて、練習してアジャストしていくのがうちの基本のスタイルになっています。


ーリアルタイムにタグ付できる”ライブタグ”機能をよく使われていますよね。

小林監督:
はい。ライブタグ機能はとても助かります。生徒がタグ付けをやっているので、フィードバックするときにライブタグがあればディフェンスやオフェンス、リバウンド、ファーストブレイク、セット、ゾーンプレイスなどのところで便利です。大会が続けば続くほど、分析の時間が短くなり何もないとそこから分析を始めないといけないですがライブタグなら一年生でもマスターしているのでとても素早くできます。


ー大会以外でSPLYZA Teamsはどう使われていますか。

小林監督:
普段の練習では基本的にはチーム内ではスクリーンイメージにほとんど使っています。練習は全て撮っているのでスタッフの観点からとそれ以外(選手)の観点から見ています。例えば5対5のスクリーンイメージ以外のところも自分で落とし込んで、たまに選手にプレゼンをしています。試合だけではなく普段にも使えています。


ーミーティングで選手がプレゼンをされていると聞きました。

小林監督:
はい、大会期間中は難しいですが、再開したころからは毎回プレゼンはさせます。分析リーダーがテーマを絞って、それに沿って担当者がプレゼンをします。それに質問をしたり、プレゼン側が逆に全体に投げかけたり。そういったやり取りをしています。


ープレゼンを取り入れてきた中で変化はありましたか。

小林監督:
場面共有です。練習だと流れていってしまうので、その場面を振り返って、確かにそうだったと気づきに繋がっています。同じ場面でもこれは切り取って練習しようと、発展につながっている。何より生徒のコミュニケーションが活発になったのが一番ですね。


ーSPLYZA Teamsを導入しようしたきっかけは何でしょうか。

小林監督:
知るきっかけは、エルトラックの鈴木さんにご紹介いただきました。いままではそんな概念はなかったです。やってみて、いろんなアプリがあるなかでSPLYZA Teamsは使い易いツールであること且つ、生徒がすぐにこなせるところがよかったです。生徒自身が使って考えることができることが最大のメリットだと思います。我々教育現場の人間からすると、教育的メリットが大きいという理由が一番です。




ー教育的メリットという生徒が使いこなせるという点で、先生が考える、生徒自身が動画編集に関わるメリットは何だと思いますか?

小林監督:
語弊があってはいけなのですが、選手に丸投げしているわけではないのです(笑)私も毎回スタッフ用と選手用、同じ映像ふたつを見ています。私は私、生徒は生徒なりにやって、そうして私が生徒のを見て同じだ、違うなというのが見えたりします。うちは私のコンセプトとして、”私も指導するけど生徒も遠慮なくなりたい自分達に向かって、いろんな意見を発出してくれる形”を理想としています。

もちろん練習中は一生懸命になって出しにくい部分もありますが、このツールを使えば、お互いに同じ画が見えているか見えていないかということが分かるのでそこですり合わせをしていくと、例えば君たちはこう思ったけど私は…というやり取りができます。コーチがやって出して、「そうだね、はい」といってやるのはスタンダード。私はもっと選手に考えてやってほしいと強く思っているので、そこだけは曲げたくないです。その信念があるなかで、選手にやらせるのが合っていると感じています。


ー選手からも同じお話を聞きました!SPLYZA Teams関係なく、生徒さんもその思いを理解されているんですね。

小林監督:
まだまだですけどね(笑)




ーSPLYZA Teamsを使う前と後の変化はありますか。

小林監督:
俯瞰して見る、自分を上から見る。ということですね。いい選手はプレイしながら自分の画が上から見えています。そういう面で撮って映像を見ているので、このプレイするとどうなるか、選手の予測する力が高まってきているのではと感じます。特に昨年の3年生には強く感じました。SPLYZA Teamsをやればやるほど質が高まりました。全国の方からも「とってもいいバスケットするね」と言われましたが、確実に分析した成果が出たと感じますし、いまの子達も継承していい流れができているなと感じます。


ー戦術が年々高度になってきていて、「いいバスケ」と評価も高いですよね。選手が戦術を理解するのにSPLYZA Teamsは役に立っていますか。

小林監督:
戦術をやるという時も映像を撮るので、生徒は何度も見返すことが出来ます。この場面でスクリーンはこう気を付けるべきなど図形を使ってやっていて、上級生も再認識することができるし、下級生も何回も見てインストールができます。戦術という面でもSPLYZA Teamsはいいと思います。

うちは戦術もそうですが、判断することがものすごく多いチームなので、”フリーランス”と”判断する”とは全然違うなと感じていますが、判断するなかで、うちにとってはそれも戦術のひとつです。ひとつの入り口があって、そこから複数の選択肢を得なければいけない場面がかなり多いので、この分析することは単純なセットプレイだけではなくて、それ以外の判断をしなければいけない場面にも活きているので、答えるとすれば、SPLYZA Teamsは戦術だけでなく全般に非常に活きていると感じています。


ー最後に今後の目標を教えてください。

小林監督:
インターハイは逃してしまったので、もともとのインターハイ、ウィンターカップベスト4という目標は変わっていないので、この夏の思いを冬にぶつけて、なんとかウィンターカップで同じフィールドも戻れるように選手と頑張っていきたいです。




ー続いて選手と分析担当の方にもインタビューを行いたいと思います。それぞれ自己紹介をお願いいたします。

佐坂さん:
キャプテンの佐坂です。3年生です。

加川さん:
分析リーダーの加川です。3年生です。




ーSPLYZA Teamsを利用する前はどのように試合を振り返っていましたか。

佐坂さん:
自分達でビデオを撮ってDVDにして試合に出た人だけに回していました。全員が見るというより見たい人が見られるようにという感じです。


ーDVDで回しながら見ていたということは、手元に回ってくるには順番があるのでその日には見られなかったですよね。それは入学したときからなのですねSPLYZA Teamsを始めて見て触ったときの感想はどうでしたか。

佐坂さん:
画期的だと思いました。自分達のプレーをすぐに見られるし、分析していくことで自分のプレイを取り出して、自分のプレーだけを見て行くこともできます。ビデオだと自分のプレーを探すのが大変でした。見たいところがすぐに見られるのがいいと思いました。
加川さん:
中学3年のときに触ったことがあって、そのときはまだどういうものか理解して使うことはなかったのですが、高校生になって使ってみて、チームで共有したり、課題点を共有することに便利だと思いました。


ー「分析」という言葉を聞いて率直にどう感じましたか?

佐坂さん:
正直、難しそうだな…とは思いました。




ーちなみに、今まで分析のようなことはされていましたか?

佐坂さん:
高校生になってからは、試合結果のスタッツや数字を見て、この人がどのくらい点を取るかなどはやっていましたが、映像を見てやるのがイメージしづらくて、難しいそうと感じました。
加川さん:
中学のときは先生がメインにやっていたのですが、高校になって自分達が主体的にやることになって、より自立してやらないといけないと思いました。より勝つために準備は必要なのだということがわかりました。


ー加川さんは分析リーダーということですが、立候補したのですか。

加川さん:
はい。ケガをしてしまって、どうやってチームに貢献できるか考えたときに、少しでも試合に関わりたかったので、分析をして相手チームの弱点や強みを共有したり、自分達の試合で課題点を見つけてアップロードするということをして貢献しようと思い、監督に伝えました。


ーいままではDVDを回して…ということでしたが、実際にSPLYZA Teamsを使ってみてどう変化しましたか。チームで、個人で、率直に教えてください。

佐坂さん:
チームでは、いままで試合に出ていた人が主に見て、自分達のプレイを自分のなかで変えていくスタイルだったのが、SPLYZA Teamsを使ったことによって、チーム全員が規律を理解して、すぐに成徳のバスケを全員が理解できるようになりました。

個人としては、自分のプレイを抜き出せることで、いままでの自分の課題、問題点が先生に言われただけで曖昧だったのが、自分で映像を見て分析してみることによって、課題がはっきりして解決するためにやることが明確になり、課題に取り組みやすくなりました。




ー加川さんは分析リーダーとしてSPLYZA Teamsを使ってみて、チームの変化はどう感じましたか。

加川さん:
チームで出た課題に対して、試合に出ている選手だけでなくて、出ていなかったとしても課題点を共有でき、チームが部活動に対してより積極的に参加できるようなっていると感じています。個人としては、他の人からも指摘を入れてもらえるようにしているので、自分で気づけなかったことも他の人が入れてくれることによって、より課題が明確になって、取り組みやすいなと思います。


ーSPLYZA Teamsを使ってみて、プレイの共有。成徳のバスケが伝わるようになったと言われていましたが、プレイの共有のところで変化を感じたことはありますか。

佐坂さん:
いままで試合に出ている人しか分かっていない部分、ダメだった部分などもありましたが、SPLYZA Teamsを始めたことによって、試合に出ていない人も理解することができて、それによってメンバー交代をしたときも、課題を理解できているような状態で入ってきているので、スムーズに交代ができるようになりました。それによって、選手層も厚くなり、替えが増えたと感じます。


ーそれは凄く強みになりますね。では、普段からSPLYZA Teamsを見るという習慣があるということですね。チームとのコミュニケーションの点で変化はありましたか。

佐坂さん:
練習中に新しい戦術が増えて詰まってしまったときに、前は先生の意見でしていたことが、いまは選手たちがしっくりくるまでみんなで意見を出し合ってプレイを組み立てていくようになりました。


ー感じるきっかけはありましたか。

佐坂さん:
分析していくうちに、細かいところまで見えるようになって、それを全員が課題などを理解して練習しているので。


ー今までの話を聞いていて、いままでは受け身だったことが、皆さんが苦手や強みを理解できるように、さらにそれを言葉で表現できるようになったのも、意見を言う活性化に繋がったのかと感じました。イメージしていることはそれぞれ今までもあったとは思うのですが、自分達が言葉でも相手に伝えられるようになったから、お互いに意見も言えるようになったんですかね。

佐坂さん:
そうです、そのとおりです!




ーチームの課題を出すことは増えましたか。

佐坂さん:
増えました。




ーどういったタイミングで課題を見つけていますか。

佐坂さん:
タグを付けて分析していくのですが、付けている間に同じミスしているのが多いなと感じたり、全員が分析をしたものを発表していくときに、多いミスに気付いて課題を見つけることが多いです。


ー加川さん、分析リーダーの立場で見るとどうですか。

加川さん:
試合終わったあとに、試合に出ていたメンバーに試合をしてどうだったかを聞いて、それをメインにタグ付けをして、こういう風にしていこうと全員で共有できるようになりました。プレイ中に迷ったときもどうすればいいかということを、全体でも話せるので、課題を見つけやすいし、それを共有できることがいいと思います。


ー中学生のときは分析はやっていましたか。

佐坂さん:
わたしは全くやっていなかったです。






ー高校に入って初なのですね。中学から高校に上がって戦術など、大きく変わったと思うのですが、映像を振り返ることでその戦術理解の助けになったのか、教えてください。

佐坂さん:
助けになりました。先生に同じミスをしていただろと怒られていたときに、映像を見ると、言われる前に気づくことができたり、言われたときに自分のなかで問題を意識しやすくなりました。


ー加川さんは成徳中学校から上がってきていると思いますが、その中でも違いますよね。

加川さん:
はい。中学は判断も大切だったのですが、なんとなくプレイすることが多かったです。高校だとディフェンスの位置を見て判断しないといけないので、プレイ中に分かっていなかったときに、映像で見たらこうだったのだと気づくことが多いです。映像で振り返ってディフェンスの位置を見たり、判断を後から振り返ってできるようになったと思います。


ー中学は感覚でやっていたのが、高校ではしっかりと判断して動かないといけない、その”判断の振り返り”で役立ったということですね。では最後に、今後SPLYZA Teamsをどうやって使っていきたいですか。キャプテン目線で佐坂さん。分析リーダー目線で加川さん、お願いします。

佐坂さん:
試合に出ているからこそわかることもあるし、それを映像で分析して、プレイ中に感じたことを出ていないメンバーにも伝えることができるので、共通理解を今後も増やしていけたらいいなと思います。
加川さん:
今後はもっと質の高い分析を突き詰めて、より細かいところをひとりで解決するのではなく、みんなでコミュニケーションをとって、それを全体に共有して、試合に出ていなくても、積極的に参加できる環境や、チーム全体で分析をして試合に出ている人が準備するのではなくて、出ていなくてもチームに貢献できるのだと自分からもっと発信していきたいです。