湘南工科大学附属高校サッカー部・天満コーチ/山田コーチ/石山コーチインタビュー 

2022.05.02 written by SPLYZA Inc.

ーIHベスト4、選手権ベスト16でしたが夏と冬の大会を終えてみて天満コーチはいかがでしたか。

天満コーチ:
昨シーズンのインターハイと選手権に関しては、悔しい負け方をしてしまいました。セットプレーが勝敗を分けてしまった、インターハイと選手権でした。練習からセットプレーはSPLYZA Teamsを使って、立ち位置や狙われるところをチーム共有はしていたのですが、両大会ともに入りのところでセットプレーから2失点してしまいました。

集大成の舞台で緊張しない精神面を全員に作らせること、選手達をひとつにする難しさを改めて痛感させられました。そこを練習、練習試合含めてどの舞台でも、前向きにプレーさせようと話をしています。

ー山田コーチはいかがですか。

山田コーチ:
来シーズンに入ればチームが全く変わっていくと思います。インターハイの代表決定に行けたり、すごく頑張ってくれたなかで、課題が出てきて、悔しい思いをしながら選手権というところで、なかなか思いを果たしきれなかったです。3年生が、もう一歩で全国だという姿を見せてくれたので、1・2年生がそのもう一歩の壁を、どうにか彼らともう一回頑張って、勝って全国に行きたいですね。去年見せてくれたものを超えていかなければいけないと思っています。彼らとそこを目指してやれれば…とにかく悔しい一年でした。


ー石山コーチはいかがですか。

石山コーチ:
やっぱり夏のインターハイも選手権もここ一番大事なところで勝負弱さがでてしまいました。インターハイは前半5分で2失点、選手権も前半ペースがつかめず、相手のペースでやってしまい、選手一人一人のメンタル部分もも強くなれれば、選手権の入りでもうまくできたのではないかと思っています。でも、後半になると前半とは別物のチームという感じでいい攻撃もできていたし、湘工の売りとしているスペースの裏へ走っていくところ、球際の強さ、崩すこだわり、コンセプトの部分は表現できていたと思います。だからこそ悔しいです。一番大事な選手権で負けてしまったのはすごく悔しいです。


ースタッフの皆さんの”育成”においての考え方を教えてください。

山田コーチ:
僕はいま1年生を持っているのですが、まず上のチームにあがってもらうに合わせて、個人戦術が全く入っていないと思っています。指導者の言っていることが全然わからないということに陥るので、そこを徹底してやることを重要視しています。高校生のレベルに合わせて個人的な止める・蹴る、そういうことだったり、身体を思ったように扱うことであったり…あとはそれだけでなくて、判断のレベルを個人戦術やスキル、判断を持てるとか、そのへんを1年生をみるときに大事にしています。ゆくゆくは、上のチームにあがっていけば、チーム全体の戦術がプラス付け加えられていくと思います。ただ、そのときに土台がないと、いくらこっちが言っていても、何を言っているのですかという選手達が増えていってしまうので、そうならないように、極力意識してやっています。


ー天満コーチはいかがでしょうか。

天満コーチ:
選手自身の発想力を引き出す練習を意識していて、選手自身に答えを出させるようにしています。お互いの意見や考え方を共有しながら、こっちが言っていることが100%正しいわけではなく、そっちの意見もいいよね、という発見もあるので、子供たちの発想力や、発見・発言を大切にしながら練習しています。

アタッキング・サードでの想像力、味方や相手の状況をすぐに判断し、効果的な選択肢を判断してそこの局面を打開していくので教えていても楽しいです。



ーそういったコミュニケーションの部分は普段の練習からチーム単位でされているんですか。

天満コーチ:
基本的に練習に全スタッフが出ているので、それぞれ抱えているチームのときはメインで指導されながら、他のスタッフが周りに居て、今の判断基準や、外にパス出した理由など、体の向きはこうしたほうが良かったねと、多角的に話を選手たちにしています。あとは、コミュニケーションの部分では日常会話も含めてよく話すようにしています。


ー石山コーチはいかがでしょうか。

石山コーチ:
部員が200名いるので、ひとりひとりがボールを触る機会が少ないです。

特に自分が教えているDチームは平日はグラウンドは使えないです。公園に行ったりしてボールを触っています。ボールを触らないとうまくならないのでグラウンドを使えるときはひとりひとりたくさんボールを触らせるように練習をすることを心掛けています。ただ走っていてもボールを使った走りとは違うので、心拍数を上げた状態でボールを蹴れるか、そういうところを大事にしています。うちのサッカーのスタイルは相手を見て、サッカーをする。ただボールを蹴るだけじゃなくて、相手がここにいるからここに走るなど、考えさせる、コミュニケーションをうまく取りながらプレーしているので、普段からコミュニケーションは大事だということは教えています。


ー選手に話を聞いたときもコミュニケーションというワードがすごく出てきていました。いまの話を聞くと、生徒たち同士もコミュニケーションが取れているし、生徒とスタッフ陣もコミュニケーションが取れていると感じたのですがスタッフ陣同士のコミュニケーションはどうでしょうか?

山田コーチ:
うちはスタッフ間で、選手が良ければどんどん上のチームにチャレンジさせてあげようと考えています。練習試合や公式戦も極力多くのスタッフで見ていて、ゲームの全体の流れの意見もスタッフ間で話したり、練習もそうしたりしています。トップチームの映像を見て、トップチームがこういう課題を持っているから、ここにこういう選手を育てたい、ここを改善できるよねと話します。200人超える部員がいて、トップがやっているサッカーを目指すようにやらせているので、そういう意味ではトップのゲームを見させて、自分がいま同じポジションのプレーを見ながらどう考えるか、基準などの話もしやすいです。よく話ながら、よくやっていると思います。僕たちのなかでも会話をしながらやっているなと感じます。


ー1年生で入ったとき、レベル、個人個人のスキルの違いがありますよね。どっちのレベルに合わせるのでしょうか。

山田コーチ:
当然まずは上に合わせます。ただ一年生のなかでも、ある程度出来るグループを分けてあげないと。出来ない子がトップグループと一緒にやっていたら、何もできなくてストレスになってしまいますよね。それを避けるためにトレーニングのなかで、高度なことをやりたいとなったときは選手に合わせてグループを作ります。全員で出来るところは全員ではやります。




ー選手の皆さんから、SPLYZA Teamsを使う前からも映像は使っていたとお聞きしました。スタッフの皆さんも使う前から映像を活用する必要性はありましたか。

天満コーチ:
映像は撮って見る、振り返りは必ずしようと、チーム別でやっていました。いままでだと、それぞれのカテゴリのスタッフが撮ったものを各自で編集して、80分の動画を10分から15分にしたものをミーティングで週1回から数週に1回やっていました。選手たちは1本の動画と、スタッフが編集した動画を2パターンみて振り返りをやっていて、必ずそれはやろうと選手スタッフの共通理解でやっていました。


ーいままでは編集はそれぞれのスタッフ。それぞれのやり方で編集されていたんですね。

山田コーチ:
そうですね。アプリというよりは、撮った映像をパソコンに入れて、パソコンの再生機能、ビデオカメラについている編集ソフトを使って切り取りしてやっていました。たぶん人によって使うものは全然違いましたね。MacBookで編集している人もいましたし、映像を時間で切ってレコーダーで動かしている人もいてバラバラでした。


ー各自で編集していたという中で課題で感じたことはありましたか。

山田コーチ:
単純に効率が悪かったです。自分自身が編集していても、途中でノートにメモしながら、タイマーに合わせてやっていたりすると、なんでこのシーン切り取ったんだっけとなっていました。でもいまは描き込めたりしますし、映像もずっと見て、戻して、切り取ったりしたところが、そのまま変えられるから、効率が良くなりました。例えば俺らが話していて、これをミーティングをやって理解しているかと言ったら、チーンという子もなかにはいますよね。でも映像を止めて描き込んだところを見れば、こういうことなんだと、見てわかります。そういう意味で助かります。


ー試合中でも同じシーンは出てこない訳ですが、似たようなシチュエーションは出てきますよね。

山田コーチ:
いいシーンにしても、課題があるにしても、このシーンもっと作れた、修正したいという部分もあります。よくもわるくも拾いやすいです。


ー率直な感想、ありがとうございます。SPLYZA Teamsを見ることによって、選手の意見を拾いやすくなったと感じる瞬間はありますか。

天満コーチ:
あのシーンの…と話せば、選手たちも「見ました」となります。試合をして出た課題を、帰ってすぐに確認するということが出来ているので、翌日の練習で事前に確認できているからこそ、その課題や自主練という質も、プレーから変わってくるのは感じています。選手からの発言を聞いても感じます。


ー毎週水曜日にみんなでSPLYZA Teamsをみんなで見てミーティングして練習に入ると選手から聞きました。どのような感じでミーティングを進めているのですか。

山田コーチ:
前の試合を振り返って、次の試合に向けて、良かったところ、改善点を洗い出しながらやっています。


ー選手がタグ付けをしているのですか。

山田コーチ:
選手がやったのと、監督がやったもの両方あります。
天満コーチ:
ミーティングが2パターンあるんです。選手だけのミーティングもあれば、監督とのミーティングもあります。同じ1本の映像のなかに、監督のタグと選手達のタグがあって、選手たちでやるときはそれぞれに感じたところをミーティングします。




ー水曜日の全体ミーティングは監督が付けたタグをピックアップして、選手に意見を聞いたりして共通理解を高めていく感じなのですね。選手だけのミーティングはスタッフはいますか?

天満コーチ:
毎回ではないですが選手の意見を聞いたりしています。入らないで選手たちにやらせて、それぞれの課題をまたキャプテンから聞いて、こっちがまたミーティングをしたりします。

毎週両方のミーティングをやれるわけではないので、シーズンを見ながらポイントで選手ミーティンとスタッフからのミーティングで分けています。



ー図形や字幕の描き込み機能は使いますか。

山田コーチ:
僕は「ここ」というところで使います。言葉で説明するよりもこういうことということが、そのあと見たときに残ってくれていると助かるなと。


ー選手は図形字幕を活用しているのでしょうか。

山田コーチ:
選手もやっている子は字幕でやっていますね。基本的には選手たちが主体でやっていて、主務が時間の割り振りをやっているのでその割り振りに合わせて気になるところは各自で字幕を使ったりしながらやっています。


ー選手が描き込んだ字幕をピックアップすることはありますか。

山田コーチ:
ミーティングでは見ることはありますが、ピックアップして何かするということはやっていないです。ただ鉛筆のマークがついているので、スタッフはそれを見て「こんなこと考えていたんだ」「こんなこと描けるんだ」と新しい発見があります。


ー部員が約200名いらっしゃいますよね。全員でSPLYZA Teamsを活用いただいていると思いますが、部員全員で使うメリットを教えていただきたいです。

山田コーチ:
選手権の前とか、本当に編集が楽になったと感じました。一番は全員が見られるから、いままでよりもチームでこういうことをやっているということが、目指しやすくなりました。チームのモデルに合わせて、こういうことを求められているのだということが、口で言っていただけでは伝わらなかったのが、見ることによって、それが伝わりやすくなったと思います。選手によっては、他のカテゴリーが気になって見ている子もいるし、仲がいい子のプレーを見たりしているようです。Aチームの選手に勝つためにはどんなことが出来なきゃいけないのか、ライバル心を持ちながらやっている子もいて、SPLYZA Teamsを全員で活用していることで活性していると思います。

あと、共有での意味でもすごく助かりました。いまのコロナ禍での、緊急事態のなかでもそういう使い方ができたことはありがたかったです。

大会期間中は自分達の課題が出てくるので、特にゲームに臨んでいる選手達に関しては当然そこを修正して、いいところは伸ばして、それで次のゲームに臨もうとやってもらっています。それでいいと思うのですが、アンダーカテゴリーの選手達に関しては、いまトップがこういう戦い方、大会でこうしているのだと伝える必要がありました。今年は特にコロナもあったりで無観客の試合が多く、選手権の予選やインターハイの予選はみんな平塚競技場で見られましたがそれまでの試合は見られていなかったです。

そんな状況でも、アンダーカテゴリーの選手たちにも見させてあげることができたことがよかったです。



ー改めてですが、SPLYZA Teamsはどのようなきっかけで導入しようと思いましたか。

天満コーチ:
すぐに共有ができることがひとつメリットでした。

いままでは管理はスタッフでやっていました。映像を撮るのも、機械の準備をして、アップロードしてと、スタッフ主体でやっていました。選手たちが自分達の端末で撮ってもらうこともあって、そのまま上げてもらったり、スカウティングでこの時間までに欲しい、基本選手たちがスカウティングいくので、いったのをその場ですぐにあげてもらって、監督が練習終わりにすぐに映像を見て対策をしていくということができると思いました。

もう一つは編集のとこで、選手も携われることで簡略化にもなりましたし新しい発見もできました。

各スタッフで今までは映像の編集方法や撮る機材もバラバラでした。でも、ひとつ映像を上げるだけで、編集もしやすいしスタッフ間で共有できます。

人数が多いと会場も分かれてしまうので、そのときでも、夜にはLINEで「この試合面白かったから見ておいて」など別カテゴリでもそれぞれの場所から確認ができます。

いままではスタッフが編集していましたが、選手にも編集してもらうことで、こういうことを考えているのか、と選手の頭の中も見えるようになりました。コミュニケーションを取っているつもりでも、言えない子もいます。タグ付けや描き込みで、スタッフが考えているようなことをその子が応えてくれる場面がありますが、この子は普段は発言しない、周りに発信力はないけれど、認識はできているのだと。逆に普段発信している子よりも、こっちの方が分かっているじゃん、じゃあもっと自信持ってやってこいよ、という声掛けに繋がりました。それは新しい発見にもなってすごくよかったです。


ーSPLYZA Teamsを使って一番スタッフと選手が変化した点を教えてください。

天満コーチ:
カテゴリーに関わらず共通の認識や理解が深まった点です。また編集が楽になったのもそうですし、他のチームの映像を見る機会が増えたということも変化です。


ーいままで自分達が見られなかったところも映像を活用することで見られるようになってチームが活性化しているということですかね。

天満コーチ:
選手ひとりひとりが試合を見る頻度が増えて、選手のコミュニケーションも、この前の試合見た?という話をしているのも聞こえています。ひとりひとりサッカーに対してモチベーションが上がっていると思います。「前の試合こうだったから、次の試合はこうしよう」という会話が増えたことによって、チームにはプラスになっていますね。選手個人としてもプラスになっていると思います。サッカーに対する熱は上がっているように感じます。


ー最後に今後の目標を教えてください。

天満コーチ:
チームの目標は神奈川制覇、全国に行きたいです。自分達に関しては下のカテゴリーをメインに見させてもらっているので、その子たちがひとつ上のカテゴリーを目指せる環境の土台作り、おかれている環境、限られた時間、場所のなかでも、僕たちが、選手が前向きにサッカーができるような働きかけ、声かけをしながらやっていきたいと思います。
石山コーチ:
下のチームを見ているので、ひとりでも多く上のカテゴリーに送り出したい。前チーム、リーグ戦があるので、そこで必ず優勝したい。一番は上のカテゴリーにひとりでも多く上げていければなと思っています。