YSCC横浜 シュタルフ悠紀監督インタビュー

2019.02.28 written by SPLYZA Inc.

2014年に発足したJ3リーグで6シーズン目を迎えるYSCC横浜。今シーズンより監督コーチ陣が大きく入れ替わり、Jクラブの監督では最年少となるシュタルフ監督が就任。シーズン前からSPLYZA Teamsを本格導入(Jクラブとしては初採用)し、早速トレーニングマッチの映像分析にご活用いただいております。今回は弊社プロダクトの使用感やそれによってもたらされた変化、今季のJ3リーグでの目標などについて伺ってきました。

※インタビューの場にはシュタルフ監督(写真中央)に加えて、三枝コーチ(写真右)、および武田GKコーチ(写真左)にも同席いただいております。


ーシュタルフ監督は現在34歳ということですが、いつ頃から指導者の道を志していたのでしょうか?

シュタルフ監督:
小さい頃から誰かにものを教えることが好きだったのですが、実際にコーチという肩書きでやり始めたのは14歳の頃からですね。そして30歳まで様々なクラブを渡り歩き、選手を引退してからは指導者や育成年代のスクール運営などをしつつ、現在に至ります。

私がドイツ出身ということもありますが、ケルン体育大学の「スシボンバーズ」という日本人主体のチームに所属していた三枝(さえぐさ)とはYSCCユースでも繋がっていたこともあり旧知の仲です。今回の監督就任にあたって私がラブコールを送った形になります。長い付き合いでお互いの引き立てどころも熟知している間柄だと思っていますので、初めてのプロクラブでの監督ということもありますし、武田GKコーチも含めて個人的には盤石の体制が作れたかなと思っています。結果的に、今回導入したテクノロジーも彼(三枝コーチ)のアンテナの高さによるものかなと。


ー三枝コーチ、ありがとうございます(笑) SPLYZA Teamsの話題が出たところで早速ですが、2月頭より本格導入いただきご活用してもらっております。現在チームとしてどのような使い方をしているのかを教えてください。

シュタルフ監督:
主に自チームのパフォーマンス分析がメインですね。自分たちのやりたい形や、相手によってどのようにやり方を柔軟に変えていくかを、より客観的に映像を使って判断できれば良いなと思っています。既にチームミーティングではSPLYZA Teamsを通した映像を選手にも共有しています。あとはシーズンインしてからになるとは思いますが、対戦相手のスカウティング分析もこのアプリを駆使してじっくりやろうと考えています。




ーコーチ陣のお2人にもお伺いしたいのですが、これまで分析において映像の編集作業などを行なっていた頃と比べて、実際に弊社プロダクトを導入してみていかがでしょうか?

三枝コーチ:
これまでは例えば監督からこの部分の映像が欲しい!と言われてから映像を切り貼りして渡した後に、別のスタッフから少し違うニュアンスでの動画を依頼されると、またイチから編集作業を始めないといけないので相当時間がかかっていました。SPLYZA Teamsを導入してからはタグ付けですぐに頭出しできるので、これまで単純に編集作業だけに費やしていた時間は半分もしくはそれ以上に時短できています。そこで浮いた時間を充分に分析できていなかった場面に当てたり、監督やコーチ陣とのディスカッションに割けるようになったのは非常に大きいです。

試合映像を切り貼りで編集をしていると局面の始点に加えて終点を意識しないといけませんが、今回このツールを導入してタグ付けを始めてから「頭出しさえできればそれで良いんだ!」という発見ができたのは革新的でした。あとは遠隔でアシスタントとして学生の皆さんにも複数名協力してもらっているのですが、彼らに都度足を運んでもらわなくともネットワークを介してサポートしてもらえるのもこの「クラウド型分析アプリ」の強みだと思います。

武田GKコーチ:
私としても今までは各自が映像を分担して編集して、ミーティングの場で初めて動画を見せ合って「さあどうしよう」とようやくスタートする感じでしたが、このツールを導入してからは同じ映像を複数人で同時に編集&タグ付けできるのがとても画期的です。あらかじめアプリの中の映像を通してやりとりしてから擦り合わせに入ることができるので、分析した試合映像から選手にいかにして伝えるか、そしてどのようにトレーニングに落とし込むかをスピード感を持って取り組むことができています。

私がGKコーチであることもありますが、チームとしてもGKのディストリビューション(配球)を起点としたビルドアップには気を使っているので、昔と比べてキーパーがより多くのタスクが求められるポジションになっていることからも、このツールを活用してより精度の高いコーチングを実現できたら良いなと思っております。特にこのシーズン前の時期にありがちな「お互いに伝えたいニュアンスの微妙なズレ」をアジャストしていくにはうってつけですね。



シュタルフ監督:
私もタグの集計画面からの映像の検索をフル活用しています。個人的にはスピード感というよりも、更に組織の役割分担が明確になったのが導入してからの1番の利点のように思います。試合分析ソフトには色々なものがあってそれぞれメリットやデメリット、あとは価格や運用するチームのやり方によって色が出て、合う合わないが出てくると思います。今回は我々にとってSPLYZA Teamsはとても良いマッチでした。

三枝コーチ:
先ほど言い忘れましたが、アナログでの動画編集は動画ファイルを持ち歩く必要があり、編集した映像の書き出しやDVDに焼いたりする時間がロスだったり、PCのスペックにも左右されたりするんですが、SPLYZA Teamsはその心配が全く無く有り難いです。 ツールの導入にあたり、高価なマシンに買い換える余裕のない予算規模の少ないプロのクラブでも十分に需要はあると思います。


ー試合映像のタグ付けソフトの導入をした場合、プロの現場において監督の行うタスクにはどのような変化があるのでしょうか?

シュタルフ監督:
タグ付けソフトが無い環境であれば、まず自分だったら丸々1試合を通しで観ます。で、コーチもしくはテクニカルスタッフ(分析担当)に「このシーンとこのシーンをこの順番でカットしてつないでミーティング用の映像にしてくれ」って依頼します。試合が90分だとしたら、プラスアルファで最短でも2時間ちょっとで監督としての作業は終わって、そのままミーティングに入リます。現在はSPLYZA Teamsのお陰で早い段階でタグ付けによって観たい局面があらかじめ頭出しできる状態になっていますので、同じ2時間でも分析にかけることのできる密度が段違いです。



例えばビルドアップのシーンだけを観たい場合、従来かかった時間と比べたら極端な話15分で映像の確認は終わってしまいます。もちろんそこで監督として作業を終えている訳ではなく、その15分を何度も見返して、その局面をどう改善していくか?どの映像を見せれば一番選手に伝わりやすいか…といった検証や考察に多くの時間を使える訳です。それは他のコーチ陣も同様ですから、各々の分析のクオリティが上がってくるのは当然だと思っています。国内のクラブでは、特別な分析ソフトを取り入れていないクラブもまだ残っていると思います。こういったテクノロジーの導入は良い方向への変化を生み出せるのでは無いかと思います。


ー最後に、2019シーズンのYSCCの目指すスタイルや目標を教えてください。

シュタルフ監督:
まずはゲームを支配することですね。そしてアグレッシブに、効果的にサッカーをしたいなと思っています。チーム内では「1対1」をキーワードにプレシーズンを過ごしており、トレーニングマッチでもその成果を垣間見ることができました。ドイツ語で言うところのツヴァイカンプフ、日本でもデュエルというキーワードが定着しつつありますが、そのような球際での激しい攻防はこのチームにおいてはまだまだ改善できると思いますので、より高いレベルに引き上げていくつもりです。

今季の目標としてはチームとしてはこのディビジョンに所属して以降目標としている1桁順位が当面の目標です。5年間そこを目指してきてまだ達成できておりませんが、私はできると思っています。そして常に挑戦者として、試合に出場している11人全員が1対1で負けない、積極的な姿勢を常に見せていけるように継続して取り組んでいきたいです。