図解で紐解く「サッカーのファクトフルネス」Vol.2

2021.11.15 written by Daichi Kawano(SPLYZA Inc.)

※前回の記事はこちら→図解で紐解く「サッカーのファクトフルネス」Vol.1
https://www.sportsanalyticslab.com/column/factfulness01.html


現在欧州でプレーしている日本人選手の数は? ※2021/6/25時点



移籍情報サイトTransfermarkt(https://www.transfermarkt.jp/)に登録されている「ヨーロッパのサッカークラブに所属する日本国籍の選手」ですが、6月末時点で451名にものぼるようです。そのうちドイツは250人!無論、トップリーグの登録は数えるほどしかありませんが、ドイツ国内リーグは下部リーグも組織がしっかりしており、3部以下のリーグにサッカー留学などを行っている選手などもかなり多いようです。

少し前に同じ条件でナイジェリア国籍の選手を調べたところ、約500人が欧州でプレーしていて驚いたのですが、実は日本も同じくらいであったということが判りました。結果的に、日本サッカーの進捗具合が判るデータビジュアライゼーションになったかと思います。


2021シーズンのJ2クラブ - 1999年以降のJ2在籍年チャート



先日ジュビロ磐田のJ1昇格が決まり、今週末には京都サンガの昇格も決まりそうな今季のJ2リーグ。毎シーズン昇格チームがまったくと言っていいほど読めない魔境な訳ですが、今季は4枠がJ3に落ちるかもしれないということでそちらのほうもシーズン終盤となり佳境を迎えています。そしてオリジナル10であるジェフ千葉、東京ヴェルディはいつになったらこの"蜘蛛の巣"から逃れられるのでしょうか…


横浜F・マリノスから期限付き移籍中の選手チャート ※2021/6/30時点



シーズン途中の情報のため多少の入れ替わりはあったものの、現時点でも多くの若手選手をJ2やJ3のクラブに貸し出ししている横浜F・マリノス。選手にとっても特に経験が必要な時期に、試合に出場できる環境を与えてもらうという意味でも、双方のクラブそして選手にとってもポジティブな素晴らしいスキームを確立していると言えます。果たしてこの中から何選手がマリノスにレンタルバックされスタメンに名を連ねるのか。そして誰がレンタル先にそのまま買い取られるのでしょうか。


対戦相手別ボールポゼッションチャート ※2021/7/1時点



7/1時点での上位5クラブ(川崎F/横浜FM/名古屋/神戸/浦和)の対戦相手別ボールポゼッションチャートがこちら。ちなみに2度対戦している場合は2試合の平均となっています。全体的にそこまでボール保持で圧倒している訳ではない首位の川崎。対して支配率絶対相手より上回るマンの2位マリノス。そして振り幅が割と大きめの3位名古屋となっていました。

なおこのようなデータ可視化のプロセスは「スモールマルチプル」という手法になります。特にサッカーはリーグ全体で相対的に分析しないと傾向がわからない場合も多いため、全体像をつかみたい場合は非常に有効な手段であると言えます。


東京五輪大会に出場した16ヶ国 - 各国スカッドの推定市場価値ランキング



今夏に東京で行われた五輪におけるサッカー競技での、出場国の各スカッドの推定市場価値ランキング(MVはメンバー発表時点のもの)がこちらの図。マーケットバリューだけでみるとスペインとブラジルの2ヶ国が他を圧倒していて、実際その2カ国が決勝進出を果たしました。なおこの大会での最高額はスペイン代表ぺドリ(FCバルセロナ所属)の80.00m€となっており、我らが日本代表は77.75m€で全体の8番目に位置していたようです。


直近のシーズンで胸スポンサーに自動車メーカーのロゴが入っているサッカークラブ



世界的にみてもサッカー界と自動車産業は密な関係にあり、名古屋グランパスのトヨタやヴォルフスブルクにおけるフォルクスワーゲン、またノリッジ・シティのロータスやムラダ・ボレスラフ(チェコ)のシュコダなど、いわゆる企業城下町を抱える大企業がそのままおらが街のサッカークラブの大口スポンサーになっているケースが多く見受けられます。特に世界的シェア&多くの自動車メーカーを傘下に抱えるフォルクスワーゲンは胸スポンサーの数も多く、現時点でアメリカ/カナダ/ドイツ/イタリア/スウェーデンと合計8クラブにスポンサードしていることに。より詳しく調べたらもっとありそうですが。

サッカーが多くの労働者階級に支持されるスポーツであること、また自家用自動車の買い替えのスパンなども考えると、サッカーユニフォームへの(自動車メーカーロゴの)胸スポンサー掲出はかなりの費用対効果が見込まれるのでしょう。今後の脱炭素の流れに伴うEV化により、自動車業界もかなりの転換期を迎えそうですが、それによりサッカークラブと自動車メーカーとの関係性も少しずつ変わっていくのかもしれません。


アルファベット1文字を模したサッカー関連のエンブレム一覧



クラブ/協会/リーグ等のエンブレムを、古いものも含めていくつかピックアップしています。2017年にユベントスがどシンプルなロゴを発表して以降、特に日本のサッカークラブがこぞってエンブレムを刷新(or追加)しているようです。なお先日ガンバ大阪が新ロゴを発表して話題になりましたが、この中に混ぜるとかなりカッコイイ部類なのではないでしょうか。個人的にはスウォンジー・シティのエンブレムが秀逸だなと思います。


スタジアムの形状とサイズの比較チャート - Jリーグ編



濃い緑部分をピッチ、グレー部分を観客席、より薄いグレーを屋根とし、鳥瞰(衛生写真)としてトレースしたシリーズとなります。まずは日本(J1/J2/J3)から。専スタもかなり増えてきましたが、やはり国や地域行政主導で作られた巨大なハコモノに目がいきますね。

個人的には必ずしもサッカー専用スタジアムである必要はないと思っていて、いろんな形状のスタジアムがあるほうが好きなので、優劣をつけるつもりはありません。が、やはり専スタの臨場感は捨て難いものです。個人的にはヤマハスタジアムのバックスタンドの絶妙な傾斜が大好きです。


スタジアムの形状とサイズの比較チャート - プレミアリーグ編



続いてイングランド・プレミアリーグ&チャンピオンシップ編。こちらはほぼサッカー専用スタジアムですね。商業施設と一体化していて鳥瞰でみると変わった形状のものもいくつか見られます。なかでも巨大なカジノが併設されているコヴェントリーシティのスタジアム「コヴェントリー・ソサエティ・ビルディング・アリーナ」なんかはシルエットだけを抜き取ると異様な形に…


スタジアムの形状とサイズの比較チャート - セリエA編



最後にイタリア(セリエA/セリエB/セリエC)。プレミアリーグとは対照的に、自治体所有のスタジアムをホームにしているクラブチームが多数存在しています。この点でいえば専スタの少ない日本に状況は似ているかもしれませんが、近年のイタリアは深刻な財政悪化が続いており、サッカー専用スタジアムもかなり老朽化が目立ってきています。

前回の「サッカーのファクトフルネスVol.1」でも取り上げた、セリエA複数クラブの収支に関するインフォグラフィックにもあった通り、懐事情はあまり良い傾向にはないようです。


日本のサッカークラブMAP - J1/J2/J3/JFL/地域リーグ各1部



日本中に点在しているサッカークラブを1枚絵でまとめているクリエイティブがありそうでなかったので、J1からJ3までを網羅したうえで、JFL、さらには地域リーグの各リーグ1部に所属するクラブ(約160クラブ)を網羅することで、全国満遍なくエンブレムを並べてみました。

なおこちらに掲載されているクラブの多くがここ数年で立ち上がった訳ではなく、大半が何十年もの歴史があるクラブばかりです。本場の欧州と比べると、日本はどうしても「サッカー後進国」というイメージがつきまといますが、ここまで全国各地にサッカークラブが存在している現在、かなりサッカー文化が浸透してきていると言えるのではないでしょうか。


プロフィール:河野大地 (Daichi Kawano) アートディレクター/グラフィックデザイナー

宮崎県出身。株式会社SPLYZAにて主にクリエイティブに関する業務全般に従事。またスポーツアート分野のクリエイターとして、サッカーに関するインフォグラフィックやアートワークなども数多く手がける。4児の父。

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