【分析への挑戦】アルティメットチーム・文化シヤッターBuzzBullets 稲葉拓郎さんインタビュー

2019.09.19 written by SPLYZA Inc.

1988年に設立され、1999年以降全日本選手権を勝利し続け、今年見事に20回目の優勝を達成したアルティメットチーム、文化シヤッターBuzzBullets。2019年からは新たに映像分析を導入してチーム強化を図る中で、現場でアルティメットの分析に挑戦している稲葉拓郎さんにお話を伺いました。

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ー本日はよろしくお願いいたします。まずは、稲葉さんとアルティメットとの関わりについて教えていただけますか?

稲葉さん:
今26才なのですが、大学から現在までずっと関わっています。アルティメットに生かされて現在の社会人生活が成り立っていると言っても良いと思います(笑) 高校までテニスをやっていたんですが、大学ではチームスポーツが良いなと思っていて、大学から始められるよっていう謳い文句の、アメフト、ラクロス、アルティメットで迷っていた中で、一番お金がかからなそうなアルティメットを選びました。ただ選手として経験は浅くて、1年生の冬に前十字靭帯切っちゃって、2年生の秋に復帰はしたんですけど、3年生の大学選手権で「あ、もうついていけないレベルになっている」と悟り、僕の選手生命は終わりました(笑) 元々裏方が好きで、球技大会でも実行委員とかやってたタイプだったので、スタッフとしてアルティメットに携わってきています。

スタッフは、大学2年生の時にJ-GREEN堺で行われたアルティメット世界大会のボランティアスタッフとして参加して、そこから日本フライングディスク協会に所属してお手伝いをするようになり、3年生の時に、ワールドゲームズという大会がコロンビアで開催されたんですが、協会の人に誘っていただいてチームスタッフとしてコロンビアに行きました。そこに文化シヤッターの選手も選出されていて、大会が終了した冬に「スタッフやってみない?」って誘ってもらって、4年生の時はそこに所属して遠征サポートなどを行っていました。

大学を卒業して一度文化シヤッターを離れたのですが、社会人として環境が整ってきたため、また文化シヤッターでスタッフとしてお世話になっています。今までアルティメットの縁に助けられた部分も多く、お世話になった分、日本のアルティメット界に還元したいな。何らかの役に立たないといけないな。という思いはすごいあります。



ースタッフとしては今まではどんなことをされてきたのですか?

稲葉さん:
国内では毎週末の練習サポート、ビデオを撮影してYoutubeにアップロード、海外遠征での英語スタッフなど、チームのサポートを行ってきました。

ーそこから新たに分析という分野にチャレンジしたのはなぜでしょうか。

稲葉さん:
英語、洗濯、ビデオくらいじゃチームスタッフとして物足りないな。と感じるようになったのが理由です。自分が監督でスタッフを連れて行くなら「もっと仕事しろよ」と思うはずで、そうなってくると、今まで無かった観点の”分析”というのは新たにできる事で、アルティメットの中でも重要になってくると思い、そういった分析でダイレクトにチームの役に立ちたいな、と思いチャレンジしています。

ー分析ツールとしてSPLYZA Teams導入に至ったきっかけは何ですか?

稲葉さん:
分析に関する情報を集めている中で、SAJ2019に参加してブースを見ていたらたまたま見つけました。このイベントに出ていたブースで、マイナースポーツで手が届くのはスプライザしか無かったというのは正直な所ですね。色々パンフレットを貰いましたが「いや〜」という感じでした(笑) 説明聞いてこれなら行けそうと思って、チームに導入の話を持ちかけて、使ってみることになりました。

ー新たな分析という分野ですが、チャレンジしてみていかがですか?

稲葉さん:
まだ試行錯誤している段階ですね。文化シヤッターでの運用を通じて2022年のクラブ選手権までに分析プロセスの体系化を目標としてやっています。最初は自分たちの「得意目」をどれだけ再現できるか?っていうのを目的としてSPLYZA Teamsを運用していました。自分の得意なプレーが出たら「得意目」タグをつけて、「自分はこのプレーが得意だからよろしく!」みたいな感じで、選手たちがやりたいプレー、得意なプレーをチームで把握できるような使い方をしていました。あと、相手チームのスカウティング分析として、オフェンス、ディフェンス分けて局面やセットの分析などもやってみました。アメリカの大会では、無制限のwifi借りて、そこで映像をアップして、日本のスタッフ(友人)にタグを付けてもらうっていうのをやりました。

ただ定量的な分析はまだ全然できていないです。何をデータとして取って、何をフィードバックするのか、何をアウトプットとするのか、データを取ったけどこれにどんな意味があるのか、などまだまだ見えてなくて、暗中模索といった感じです。アルティメットはモデルケースが無くて自分たちで今作っている段階ですね。これに関しては「自分だけじゃ難しいな」って考えて、この前『データ x アルティメット』っていうキーワードで人を集めて議論してみたんですよ。そこには、アルティメットの得点板アプリを作っているエンジニアさん、大学でスポーツアナリティクスを勉強している学生、日本代表監督、日本代表選手とかで、どういうデータが試合の中で必要なのか、リソースが限られた中でどこまでが現実的なのか、触り部分だけ話して、またこれを継続してやっていこう。という話にはなっています。 最終的にはデータをとって、今このデータは選手のこういうところに役立っている、というのを説明できるようにしたいです。

▼選手別に集計されたアシスト、ゴール


ー自分たちで分析の文化を作っているというのはとても興味深いです。

稲葉さん:
分析に関しては日本以外も結構やり出していると思います。特に今年のアメリカ遠征では強く感じました。アメリカは体格がよくて、追い込まれたら無理矢理シュートを打ってくる傾向があったので、その場面を狙った作戦で今まで戦ってきたんです。そしたら今年は追い込まれても全然シュート打ってこない。完全に想定外でした。こっちはアメリカの試合映像が日本で入手しにくく、事前に分析できていなかったのですが、日本の映像はYoutubeで公開されている映像が多く、アメリカに結構分析されていたと思います。アメリカの守備のやり方からもそれを感じましたし、今回はそれでかなりやられてしまいました。



ー世界的にも映像を使った分析は進んでいるのですね。現状で映像分析ツールとしてSPLYZA Teamsを導入してメリットと感じている部分を教えていただけますか?

稲葉さん:
まず、今までよりも選手たちが映像を見るようにはなりました。Youtubeだと誰が見てるのかわからないですが、スプライザだとそこが分かるので、見るようにはなっていると思います。あと一つは、考えていたことをアーカイブすることができる点ですね。映像と言葉で振り返って「あの試合はああだったな」「キャプテンはこんなこと言ってたな」っていうのを映像と共に振り返るっていうのはYoutubeだとできない。矢印とかで描かれて「このスペースはこう」とか映像でのフィードバックを何回も振り返れるのは選手たちに響いていると思います。ただ、まだ正直使い切れてないな〜という思いの方が強いです。集計とかもっとうまく活用したいです。

ー最後に、分析に関して稲葉さんの今後の展望を聞かせていただけますか。

稲葉さん:
僕の今の最終目標は、2022年のクラブ選手権でクラブ世界一に貢献する事で、そこまでの3年間で分析を活用できるようになりたいと考えています。今はファーストステップとして、スプライザをやってみて、分析という観点を入れるという段階で、そこに関してはまずまずかなぁという感じです。そしてよりチーム全体で運用していくというのがセカンドステップ。そのためにどんなデータを取るか、どう運用していくか、などのルール作りに今取り組んでいます。そこから映像やデータを元に自分から発信できるようになるのがサードステップ。分析から相手のウィークポイントを見つけ出すような、そこでやっとアナリストって名前がついて、チームに貢献できるかな、と思っています。