【分析リーダーに聞いてみた】四国学院大学サッカー部キャプテン・坂東宥吾選手インタビュー「大学サッカーにおける分析の重要性」

2021.04.07 written by SPLYZA Inc.

四国大学サッカーリーグ1部に所属し、昨シーズンは見事リーグ優勝を果たし全国大会にも出場した四国学院大学サッカー部。全国大会ではベスト16の成績を収めました。今回はその四国学院大学サッカー部でチームキャプテンと分析リーダーを務める坂東宥吾選手に、分析の重要性や将来のビジョン等についてインタビューを行っております。



ー本日はよろしくお願いします。まず初めに坂東選手のチームでの役割を教えてください。

坂東選手:
現在はチームキャプテンと分析リーダーを担当しています。キャプテンの役割は他のチームとほとんど変わらないと思います。練習や試合で一番声を出したりチームを引っ張れる存在になれるように、プレーや私生活でもみんなの手本になれるよう常に意識しています。

分析班では試合に向けての意識統一のためのミーティングや試合後の振り返りのミーティングを、SPLYZA Teamsを活用しつつタグ付けや描き込みをした映像を使ってプレゼン形式でやっています。基本的には僕がミーティングを行いますが、試合が多い時は同じ分析班のメンバーがミーティングをしたり、各試合によってメンバー分けを行うようにしています。


ー分析班が立ち上がった経緯と、分析班のリーダーをどのようにして決めたのかを知りたいです。

坂東選手:
毎年3月末から4月の頭にチームビルディング合宿というのがあるのですが、そこでSPLYZA Teamsを導入したときに分析班が立ち上がって、誰をリーダーにするかを決めるミーティングがありました。我々の大学はC級ライセンスを所持している選手が数人いるのですが、彼らが分析班にも何人かいて、その中から立候補で決めようということになりました。




ーそのなかで坂東選手自ら立候補したのですね。

坂東選手:
いくつかあるビジョンのうちのひとつに「サッカーの指導者になる」という目標もあるので、それを見据えたときによりサッカーを捉えるきっかけになると思いましたし、将来の目標と照らし合わせても必要な部分になると思い、分析班に立候補したうえでリーダーにも立候補しました。


ー自ら立候補、素晴らしいですね。なおSPLYZA Teamsの編集は全員ではなくて分析班でやっているのですか。

坂東選手:
いまのところは試合の振り返りは分析班でやっています。ここ最近は全員で行うこともしています。なので、タグ付けの仕方を僕の方から改めて全員に説明をしました。


ーいままで分析班だけで編集をしていたところを全員でやるようになったと言っていましたが、きっかけを教えてください。

坂東選手:
試合の振り返りを分析班だけが行っていると、一番分かっているのが分析班で他のメンバーと差が出てしまうと感じたのがきっかけですね。分析班は発表はしますが、タグ付けは全員で行ってもいいのではないかと話し合い、全員でタグ付けをしたり試合の振り返りを文章でコメント欄に書いてもらったりするようにしました。




ー最初にSPLYZA Teamsを知ったきっかけと、使い始めの頃の印象はどのようなものでしたか?

坂東選手:
SPLYZA Teamsを導入して2年目になると思うのですが、いままでは選手がビデオで撮ったものを監督が動画編集して、監督がミーティングするというやり方でした。導入するきっかけとなったのは、監督自身の意向が一番大きかったと思います。

大学生として、選手たちが主体的に分析して発表することに大学サッカーの意義があると監督が強く仰られ、僕たちもその意向に共感し、自分達でやっていかなければならないという意識が強くなりました。SPLYZA Teamsを導入してから分析班を新しく作り、はじめは僕たちも難しいと思っていたのですが、やっていくうちに結構簡単だなと、分析班のみんなと感じ始めるようになりました。

今までは監督に言われてからミーティングをやっていましたが、回数を重ねるごとに言われる前に自分達からタグ付けをして、自分達でミーティングしようと、監督やコーチが入らない選手ミーティングの機会が増えたと思います。印象は選手の主体性をより伸ばしてくれるアプリだと感じています。


ー「選手ミーティングが増えた」とのことですが、SPLYZA Teamsを使う中で自然にそういう主体性が身についていたのでしょうか。

坂東選手:
いままで監督がミーティングをするのが当たり前だったので、それがSPLYZA Teamsを導入することによって、スマホやタブレットがあればいつでも試合が見れる状況になり、試合が終わったあとに「今の試合、SPLYZA Teamsにアップしといて!」とすぐ言う選手が出てきたりもしました。導入してからは主体性が伸びてきて、選手自身も自分達でやらなければという意識がどんどん芽生えてきたと思います。




ー監督がやるミーティングと比べて、選手だけでミーティングを行うメリットなどはありますか?

坂東選手:
監督がいると遠慮して出てこないような発言や、もっとリアルな意見交換が飛び交うようになったと思います。監督がミーティングしていると、選手だけの空間に比べて、発言しにくい雰囲気があると思うのですが、選手だけなら普段仲良く話しているので、その延長線上でミーティングしているような感じになります。指名しなくても意見が出るのは嬉しいですね。なお選手ミーティングで出た意見は僕がまとめて監督に伝えるようにしています。


ー現在の四国学院大学サッカー部での具体的なSPLYZA Teamsの活用方法を教えてください。

坂東選手:
昨年の春先はコロナの影響で全員が集まって練習することが出来ず、監督が指導せずに自分達で自主練メニューを考えました。その際はSPLYZA Teamsを活用して、練習でのゲームの雰囲気を振り返れるようにしていました。

また試合の分析で特に力を入れたのは、去年全国大会に出場した際、それに向けて2020年シーズンのチームの特徴を自分達で分析したことです。得点時間と失点時間の割合を過去1年間分さかのぼって、40分以上の試合をピックアップしたうえでタグ付けして、グラフ化しました。そのグラフを見たときに立ち上がりの失点が明らかに多かったので、全国大会では「とりあえず立ち上がりの失点だけはなくそう!」という指標が明確になりました。

自分達の傾向と目標がSPLYZA Teamsを導入、活用したことによって出てきたことは良かったと思っています。全国だと格上のチームが多いので、データをグラフ化して客観的に見られたのは大きな収穫がありました。

最近は、試合の振り返り、週末のゲームに向けての意気込みを動画と一緒になっているコメント欄に個々で書くことを始めました。コメントはアプリに入っているメンバー全員見ることができるので、「この選手はこんなことを思っているのだな」と理解が深まれば…と思い始めて見ました。




ーチームメイトからのコメントを読み始めて、分析リーダーとしてやりやすくなったことはありますか?

坂東選手:
選手が考えていることがより分かるようになりました。タグ付けの仕方も人それぞれあって、注目する部分も違うので、「攻撃の選手でも守備も考えられている」などといった選手の特徴や考え方の傾向がタグ付けだけを見ても掴めるようになりました。


ー選手の傾向が見えてくると、選手によって伝え方を変えるなど工夫する意識も生まれてくるものなのでしょうか?

坂東選手:
分析班とキャプテンを兼任していて良かったのは、分析はより細かいところ、枝葉の部分にフォーカスしていく作業だと思っているので、選手の傾向や考えがより細かく分かるということと、キャプテンをやっているので、選手の特徴に合わせて伝え方などをこだわれるきっかけになったと思います。分析班のリーダーとしてもキャプテンとしても両方をやれていることは自分にとってプラスになっていると強く思います。


ー分析班のリーダーとして試合を分析していく中で、特にエモーションを感じる瞬間などはありますか。

坂東選手:
例えばチームの傾向をグラフ化して発表したときに、労いの言葉をチームメイトから貰えた時は素直に嬉しいですね。データ集計のためにずっと試合を遡って分析していたので、苦労を分かってくれる選手もいて、労ってくれたスタッフがいたことには達成感を感じました。

少し悔しいなと思うのは、折角分析したタグ付けや字幕を見てくれない選手がいることです。歯痒い気持ちになります。SPLYZA Teamsは既読機能があるので、見ていない選手がいると分かってしまいます。あれは絶対僕は見てしまいますね。再生ボタンを押すよりも、まず真っ先に既読してくれている選手をチェックしますね。

逆に絶対見る選手、既読が早い選手はやっぱり信頼できますし、分かってくれているなと感じています。なので、既読機能は良い意味でも悪い意味でも役に立つ機能だなと思っています。




ーその際、映像を見ていない選手へのコミュニケーションはどのように行うのでしょうか?

坂東選手:
出来るだけ見てもらえるように工夫して、そのまま放置しておかないようにはしています。コメント機能の使い方も、自分でコメントを書くと動画も絶対に見るので、コメントを書いてもらうことによって少しでも見るきっかけになるのではないかと始めました。

サッカーノート、スケジュール帳に書く選手もいましたが、それも「本当に映像を見ているのかな?」と思っていたので、SPLYZA Teamsのコメント欄に書いたほうが試合映像とセットになって見るきっかけにもなるし、”書く”ということは試合を見たことを整理するということが過程としてあると思うので、コメント機能の活用は試合を見てもらうために考えたテクニックです。




ー自ら色々と考えて行動していて素晴らしいですね。少し話題を変えて、現在株式会社SPLYZAにインターンとして働かれていますね。希望したきっかけを教えてください。

坂東選手:
きっかけはSPLYZAからコーチにインターン募集の連絡があり、声をかけてもらったことです。僕も人生経験になるならと思い、ぜひ!と手を挙げました。

それとプラスして、インターンに行くことによって他の選手の刺激になるのではないかと思いました。僕たちの大学はインターンに行くのは遅いなと先輩を見ていて感じていたので、チームメイトに「坂東もうインターンやっているんだ!」と感じてもらえるように早めに連絡をさせていただきました。


ー実際に中で働いてみての、株式会社SPLYZAに対して思うことを教えてください。

坂東選手:
最初に感じたのは、皆さんとても仲がいいなと。連絡の取り合いの頻度や言葉使いなど。zoomでのミーティングにも参加させていただいたのですが、距離が近くて、今まさに成長されている企業なんだなと強く感じています。僕のようなインターン中の若者の意見も拾いあげていただいて有難かったです。


ーまだ現在進行形ではありますが、インターンを経験して感じたこと、意識が変わったことなどありますか。

坂東選手:
「実際に商談します」と連絡をいただいた時に、商談ってかっこいいイメージがありました。正直自分のなかでは話すのが得意なので、ある程度出来るのではないかと思っていましたが、最初に母校に商談に行かせていただいたときに全くうまくいかず、そのときに心が折られました。商談ってこんなに難しいのだと改めて感じたことが、頭の片隅に苦い思い出として今も残っています。

言葉使いや相手の表情や仕草を見て言い方を変えたりなど、まだまだ自分でも出来ていない部分ではありましたし、実際に商談というリアルな場面に入ったときに緊張で固まってしまって、これはヤバいなと思いながら話していたのですが、悔しかった反面、もっと出来るようになりたいとすごく思っています。

インターンの経験は、普段のコミュニケーションにも活きると思っているので、自分で振り返ってみたことをチーム内の選手間でのコミュニケーションに活かせればと思っています。




ー現在は地方の大学に通っている訳ですが、そのような環境下で自分のやりたいことを見つけるコツなどはありますか?

坂東選手:
地方と都会の違いは環境が一番大きいと思います。人間関係やインフラ、各種施設など様々なことをひっくるめての環境です。コロナ禍というのもあって実際に都会に行くこともできない状況ですが、オンラインは逆に普及したので、そこをうまく利用して自分の興味のあること、やりたいことをアンテナを張って、常に探し続けることが地方の大学でも出来ることだと感じています。

ひとつ印象に残っている話があって、長友選手(現オリンピック・マルセイユ所属)が以前、「海の魚で空中に飛んでいる鳥を捕まえる魚がいる、その魚は海の水が濁っていると鳥は見えないので、いまのコロナ禍のなかで若者に意識してほしいのは、水を透明にする、常に周りのことが見えるように自分のやりたいことを探せるような環境を自分で意識して作ってほしい」と仰っていました。それを聞いたときに、オンラインのイベントなどは自分で情報を集められるようになりましたし、地方の人間でもいろんな場所の情報をより得やすくなったと思っています。

自分から新しい環境や世界に飛び込んでいく勇気だったり、判断力はいま意識していることでもありますし、やりたいことを見つけるコツになるのではと思っています。


ー坂東選手はサッカー部のチームキャプテンとして、また選手個人としてもさまざまな方面から信頼をされているように映ります。坂東選手の考える処世術のようなものがあれば教えてください。

坂東選手:
これまでは組織のなかでうまく立ち回るということは、協調性が求められていたと思いますが、これからの時代は自分の意見や考えが伝えられる発言力、行動力なんかもこの世の中を生き抜いていくために必要なのではと思っています。

自分のブランディングも大事になってくると思っていて、まわりの環境のせいにするのではなく、自ら率先して状況を変えていかなければいけない、己を奮い立たせていくことが大事になってくると思います。どれだけ自分に付加価値があるか、どういう資格があって、どういう考えの人間なのか整理して"強み"を全面的に押し出していくかが鍵なのではないでしょうか。

大学1、2年のときは与えられたことを全力でやる感じだったのですが、3年の春に短期でドイツ留学したのがきっかけで世界がガラリと変わりました。自分で動けばこんなに経験できることが増えるのだと改めて感じ、その意識のまま今も日々を過ごせています。


ー分析は「縁の下の力持ち」的ポジションかと思うのですが、そういう役割をやっている選手やスタッフの方々に向けて一言お願いします。

坂東選手:
チームスポーツ全般に言えると思うのですが、サッカーも試合に出ている11人だけでは良いプレー、良いチームにはなりません。11人だけ頑張っていてもいい組織にはならないと思っています。それを周りから支える選手や関係者は本当に多くて、そのなかのひとつが分析班だと思います。分析は試合に直結する重要な役割なので、その役割を任せられていることに大きな自信を持って欲しいと思います。

僕自身もキャプテンをやってはいますが、分析をしているときはキャプテンというよりはチームをいい方向に向かわせたい、自チームの強みを絶対に見つけるぞという気持ちで分析をしているので、あまり見えない部分ではありますが、日の当たらない部分の選手が頑張ることによって試合に出る選手が活躍できることは絶対にあるので、チームを強くすることができるという自信を持ってやってほしいと思います。




ー最後に、今後の目標やキャリアプランを教えてください。

坂東選手:
直近は、まずチームを勝たせるキャプテン、チームとしても大学生としてもみんなのいい見本になれるように行動、発言に気を付けてやっていきたいと思っています。

あとは去年全国大会に出場してベスト16に入ったので、今年はベスト16かそれ以上の成績を求めていきたいですね。選手個人としては去年四国リーグの最優秀選手に選んでいただいたのですが、2年連続でMVPを取った選手はまだいないようなので、今季はそこを目標にも頑張りたいです。

長期的にはプロサッカー選手になることが一番の目標ですので、あと1年間の大学生活のなかで自分から行動を起こして、より多くの知識や経験を得たいと思っています。何事にもアクティブにチャレンジし、興味のあることは突き詰めるという自分の理想像があるので、卒業後もその意識を忘れずに自分のビジョンを追い続けたいなと思っています。