Sports Analytics Lab


【学生分析チームでの活用事例】東京大学運動会ア式蹴球部テクニカル班・稲田さんインタビュー

2019.11.19 written by SPLYZA Inc.

日本の最高学府において最難関のひとつとされている東京大学。そのサッカー部である東京大学運動会ア式蹴球部ですが、1918年の創設は大学サッカー界で最も歴史が古いとされています。今回はその東大ア式蹴球部内において、試合映像などの分析を専門的に行う「テクニカル班」の班長である稲田さんに、今シーズンの分析に関わる取り組みやデータ取得についてのお話を伺いました。

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ー本日はよろしくお願いします。まずはア式蹴球部のテクニカル班について少し教えていただけますか?

稲田さん
ア式蹴球部にはフィジカル班、広報班など色々な班があって役割が分かれているのですが、テクニカル班は映像やデータの分析を行う班です。3年ほど前に発足してから、今は全体で8人で、2年生の僕が今年の8月から班長をしています。SPLYZATeamsで試合映像を分析したり、試合中のイベントデータを取得したり。あとはGPSのデータ取得などを行っているグループです。

ーなるほど。色々な分析をやられてますね。稲田さんの担当されている「映像分析」は、普段どんなことをされているのでしょうか?



稲田さん
今シーズンは自チームと対戦相手チームの映像にタグを付けて分析をしていました。割り振りとしては3人が相手チームのスカウティング、その他で自チームの分析を担当してた感じです。

ー役割分担が明確なのですね。ちなみにどんなスケジュールで分析を行われているのでしょうか。

稲田さん
自チームの分析に関しては、試合がある日曜日に映像をアップロードして、月曜日の夜〜火曜日の早朝までにはタグ付けを終わらせます。そこから監督やコーチとテクニカル班が映像を確認しながら分析して、水曜日に監督とテクニカル班でミーティング→木曜日に選手たちとSPLYZA Teamsを見ながら振り返りを行っていました。タグ付けに関してはテクニカル班だけでやるのではなく、選手たちにも手伝ってもらいながらという感じではありました。



ー映像は何で撮影されてますか?

稲田さん
今はスマホで行っています。以前はビデオカメラで撮影していたんですが、スマートフォンで撮影したほうが画質が良かったので。

ーイベントデータはどのように取得しているのでしょうか。

稲田さん
去年まで別ソフトを使ってデータを取得していました。映像をみながらパスやドリブルなどワンプレーずつ全部データを取っていました。クロスの位置やシュート位置、シュート打たれた位置とかを全部見ることができて自分たちはどうだったか、相手チームはどうだったかというのをデータで振り返るのに使っていました。場所が出てくるので、各選手のホットゾーンを見ることができる部分はよかったのですが、作業がかなり大変でした。

今年はそのソフトは使わずエクセルなどでクロス、ドリブルの対応やファールの位置などデータを絞って取得していました。あとはパッキングレートも集計していて、分析班の4〜5人でエクセルで集計するという事をやっていました。


ーそれは凄いですね。ただ、パッキングレートをアナログ集計されるのは大変かと思います。

稲田さん
パッキングレートは本当に試合を見た感じが数字に反映されていて「今日の試合よかったな」っていう試合はパッキングレートがほとんど高いので、これだけは出したいなと。ただ、良いデータではあるんですけど、いかんせん集計するのが大変で。20分をやるのに3〜4時間かかるスタッフもいます。

映像を見ながら縦パスが入ったときに時間を止めて、相手を何人通過したかを数えた上で、そのパスの出し手と数字を入力していく作業をしていくので大変な作業なのですが、去年の別ソフトを使ってワンプレーずつデータを取っていた時と比べればまだ良いのかなと。今は自チームに対してだけですが、相手チームでデータを取ってみても面白いと思います。中心選手や活躍した選手を数値から読み取れそうです。

ーGPSに関してはいかがでしょうか?

稲田さん
GPSは練習や試合で選手に付けてもらってデータを取得しています。スプリント回数、走行距離、ハートレートを見ていて、監督がそれを参考に疲労度を予想して、練習メニューを調整するという使い方です。ただ、疲労度に関してはまだ曖昧で、定量的な数値で個別の疲労度を数値化して、それで練習を調整というようなレベルまではできていないです。



まだ今年から始めたばかりなので、こういったデータをどう使っていくかをテクニカル班として試行錯誤してやっていきたいですね。怪我に至る疲労度のラインを作ったり、GPSデータとイベントデータを時間で紐付けて、ホットゾーンを見たりなど。僕は機械科なのでそういった部分の専門ではないですが、来季から情報科の方が入ってくれる予定なので、その人に期待しています。

ーそれは楽しみです。最後に、今後データを使ってこんなことをやってみたい。などあれば教えてください。

稲田さん
そうですね。リーグ戦の前期・後期の終わりに「データ総括」というのをやっているのですが、そこでのフィードバックの質を上げたいです。パッキングレート以外だと攻撃のパターン、ビルドアップからどういった流れで攻撃したかを数字で出せるようにできれば。あとは、オフシーズンを使って、現在取得しているデータを今後どう活用していくかを考えていきたいと思っています。