様々なスポーツの3D動作分析に活用できる世界のモーションキャプチャサービス3選!!【PR含む】
2024.11.01 written by Gaku Morita(SPLYZA
Inc.)
*Click here for the English version.
https://www.sportsanalyticslab.com/en/lifehack/motion-capture.html
パフォーマンス向上やケガの予防など、スポーツ界でも「3D動作分析」は欠かせない要素の一つとなっています。現在では人物の動作の3Dデータを元に、様々な視点からその動作を確認したり、その動作によって使われる筋肉を可視化する技術も開発されています。また、スポーツ界以外でも、アニメやゲーム、ストリーミング配信といったエンタメ分野における3Dコンテンツの増加や、VR(Virtual
Reality)などの技術発展も相まって、3Dデータの活用は各所で爆発的に広がっています。
このように活発に利用されつつある3Dデータですが、それらを取得する ”モーションキャプチャ”
サービスは世界中にいくつか存在します。今回はその中で、人物の動作を3Dモーションデータ(BVH形式)として取得 /
出力することができる3つのサービスを、動作分析に活用できるかという視点でご紹介します。
※当記事では、以下のツールを精度検証時に利用しています。
・Blender: 3Dコンピュータグラフィックス制作ソフト
・AnyBody: 筋骨格モデリングシュミレーションソフト
©AnyBody Technology A/S
Plask (プラスク) - AIモーションキャプチャーで あらゆる動画をプロ級の3Dアニメーションに変換
対応形式および対応デバイスなど:動画ファイル(単眼カメラ) / PCのみ
PCからブラウザ経由でログインして利用できるサービス。Plaskにmp4形式の動画を取り込むと、その動画に映っている人物の3Dモーションデータが生成されます。また、Plaskの中でモーションデータと人物モデルが連携したアニメーションを確認したり、そのアニメーション編集なども可能。加えてモーションデータをBVH形式で外部へ出力することもできます。
精度
ピッチング動作ですが、正面視点では実際の動きと合っていて自然な動きに見えます。ただ、側面視点だと、全体としてカクカクしており、足の位置が安定していないようです。
持ち上げ動作に関しては、おおよその動きは自然ですが、右足を軸にして左足が滑るような不自然な動きがみられます。
*AnyBodyによる筋活動コンタ (青: 低い ― 赤: 高い)
【テラバイト社によるPlaskを用いたAnyBodyによる解析詳細】
日本語: https://www.terrabyte.co.jp/AnyBody/exe-Any/?p=733
英 語: https://plask.ai/ja/blog/62
料金体系
Plaskは無料で始めることができ、処理数や利用用途に応じて、月 / 年のサブスクリプションプランが準備されています。
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PC版のブラウザアプリで、自前で撮影した動画から手軽にモーションキャプチャが可能で、無料で始めやすいサービスです。精度に関しては、正面視点だと良いですが、側面視点で物足りない部分があり、足が滑るような挙動も見られました。正面からの視点は比較的精度が良かったので、カメラの視点はそのまま、かつ人物モデルに当てはめるような用途に向いているサービスで、正面視点からの動作分析には向いていると言えます。
◾︎Plask 製品サイト
https://plask.ai/ja
SPLYZA Motion (スプライザモーション) - AIによるマーカーレス3D動作分析アプリ
対応形式および対応デバイスなど:動画ファイル(単眼カメラ) / スマートフォン・タブレット(それぞれiOSのみ)
SPLYZA
MotionはiPhoneもしくはiPadにアプリをダウンロードして、アカウントを登録すると利用可能なサービスです。アプリ内で3Dオプションを選択して動画を読み込むと、人物の3Dモーションデータが生成されます。SPLYZA
Motion内で3次元的な動きを確認したり、部位の速度や距離、角度等も表示できます。なお、生成された3DモーションデータはBVH形式で出力可能です。
精度
ピッチング動作は全体として自然な動きとなってます。側面視点でカクカクする様子はあまりなく、足の位置も安定しているので精度は良好と言えます。
持ち上げ動作に関しても全体として自然な動きで、足の位置も違和感のない動きをしています。
*AnyBodyによる筋活動コンタ (青: 低い ― 赤: 高い)
料金体系
1ヶ月の無料トライアルから利用することができ、その後、有料サブスクリプションでの契約へ移行した際に料金が発生します。
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Plaskと同様、撮影した動画から手軽にモーションキャプチャが可能で、スマホ /
タブレットで利用できるので屋外でも利用できます。それゆえに、スポーツの動作分析にも非常に便利です。精度としても、正面視点・側面視点と安定しており、ひとつの動作を撮影して簡易的に様々視点から動作分析するような、様々なシーンでの活用が見込まれます。(*認識精度の詳細に関しては現在、複数の大学と共同研究中。)
◾︎SPLYZA Motion 製品サイト
https://motion.products.splyza.com/
VICON (バイコン) - バイオメカニクス & スポーツ
対応形式および対応デバイスなど:カメラ / マーカー / PCのみ
VICONは、専用カメラが設置された空間と、専用ソフトウェアを使用できるPC端末が必要となるサービスです。被写体にマーカーを装着して、そのマーカー位置をカメラを通じてソフトウェアで処理し、モーションデータをリアルタイムで取得、可視化することができます。マーカーを装着できれば人物以外でもデータを取得でき、それらのモーションデータをBVH形式で出力することも可能です。
精度
製品サイトに「動作中の誤差の平均値が0.017mm」とエビデンスが記載がされているように、実際の動きとほぼ同じと言えるほど高精度です。
*引用元
http://www.vicon.jp/accuracy/
持ち上げ動作に関しても全体的に自然で、全く違和感のない動きをしています。
*AnyBodyによる筋活動コンタ (青: 低い ― 赤: 高い)
料金体系
様々なプラン・料金体系が準備されていますが、一般的にはVICONシステム(マーカー、カメラ設備など)導入の初期料金が発生します。
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精度が申し分ないうえ、リアルタイムでモーションキャプチャが可能な為、スポーツの動作分析だけでなく多くの分野で活用できるサービスであると言えます。設備導入に対するハードルと、設備を使う際の手軽さには欠ける部分こそありますが、精度にこだわったデータが必要な「プロフェッショナルな環境」で特に必要とされるサービスでしょう。
◾︎VICON > Motion Capture > バイオメカニクス & スポーツ
http://www.vicon.jp/motion-capture/biomechanics-and-sport.html
まとめ
製品名 | 精度 | 手軽さ | 費用 |
---|---|---|---|
Plask | △ | ◎ | ◎ |
SPLYZA Motion | ◯ | ◎ | ◯ |
VICON | ◎ | △ | △ |
今回は「スポーツの3D動作分析」に焦点を当て、モーションキャプチャに特化した3つのサービスを紹介しました。これらのサービスを活用することで、選手のパフォーマンス向上やケガの予防に繋がる新たな発見や、より効率的なトレーニングに関する気付きなども期待できます。どのサービスを選ぶかは、分析の目的や予算、加えて必要な精度によって異なります。高精度なデータが必要な場合はVICON、手軽に始めたい場合はPlaskやSPLYZA
Motionをオススメします。
繰り返しになりますが、モーションキャプチャの技術はスポーツ界だけでなく、エンターテイメントや医療など、様々な分野で活用されています。VR技術との融合やAIによる自動化など、今後の発展もますます期待されますので、是非ともこの記事を参考に、ご自身の目的に合ったモーションキャプチャのサービスを見つけて、スポーツサイエンスの新たな可能性を探求してみてください。