【TIPS】映像を分析する前に…まずは”撮影のテクニック”を身につけよう!

2020.08.14 written by Takeshi Marui(SPLYZA Inc.)

8月に入り少しずつではありますが練習試合が再開され、試合を分析する機会が増えてきたかと思います。今回は「分析」ではなく「撮影」にテーマを絞って解説していきます。

なお、今回の記事を作成するにあたり、SPLYZA Teams利用校の先生方から事前に「生徒達の撮影失敗エピソード」をヒアリングしました。

・ボールを持った選手に寄りすぎていて全体で何が起こっているか判らない。
・ゴールシーンが画面に映っていないが、喜びの声は入っている。
・選手がロングパスを出した後、画面が左右にパンしない。
・ウトウトしながら撮影しているのか、たまに画面が上下にカクっと動く。

他にも…

・バッテリーや電池切れで撮影が中断せざるを得ない状況に。
・内蔵もしくは外付けHDDの残容量を確認しておらず、保存できなかった。
・逆光がひどいが、そこ以外に撮影ポイントが無い。
・コート数が多い会場だと場所が判らずキックオフに間に合わない etc…

後半の4つは事前確認をしておけば避けることができた事態かもしれません。準備は入念に行いましょう。

さて、このような”撮影失敗エピソード”の多くは「ボールに集中していて重要な部分が映っていない」ことがほとんどのようです。もあくまで「チームの分析」に必要なものを撮影する訳なので、前提として”ピッチ全体が把握しやすい引きでの映像撮影”を心がけるようにしてくださいね。

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それでは各ポイントを説明する前に「可能な限り三脚を使ってください!」ということを先にお伝えしておきましょう。


最近のビデオカメラやスマートフォンは手ぶれ補正の技術が上がっていますが、それでも三脚なしで撮影した映像をずっと見ていると画面が揺れているので酔う場合があります。使えるのであれば三脚は使いましょう。最近では安いものだと3,000円位から購入できます。

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★ポイント1 なるべく高いところで撮影する

撮影ポイントはピッチに対して1㎝でも高い場所をお勧めします。できればピッチ中央での撮影が良いのですが、多少ずれてでも高い撮影ポイントがあればそちらをお勧めします。理由としては高さがあると映像に奥行きが出るので、映像分析が格段に楽チンになるからです。

会場に観客席や高い位置の撮影ポイントがない場合は、持ち運びできる椅子を使い三脚を目一杯の高さまで上げて撮影すると良いでしょう。こういった僅かな意識の違いがのちの映像分析に大きな違いを生みます。


例えばピッチサイドで立って撮影する場合、どれだけ頑張ってもこんな感じのアングルにしかなりませんが…


会場に高い撮影ポイントがあるとこれだけピッチ全体を俯瞰することができます。このようにできるだけ良い撮影条件を揃えるためにも、現地入りする前日までに事前に会場に問い合わせたり、SNSで情報収集するなどの下調べは可能な限りやっておきましょう。

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★ポイント2 3つのエリアを意識する

サッカーの「分析のフレームワーク」においてディフェンシブサード/ミドルサード/ファイナルサードと3つのエリアで考えることがありますが、撮影もこちらのエリアを意識すると良いでしょう。


例えば攻撃側の選手が敵陣の深い位置ボールを持っていた場合、アングルはボール中心ではなく、ファイナルサード全体が映るようにしておきます。そうすることで極端に後方にパスをする際以外はカメラを動かさなくてよくなり、画面が安定して見やすくなります。試合の大半はミドルサードを中心に行われますが、ファイナルサードにボールが入ったら、ボールを保持している選手+相手の守るゴールが入るようであれば一緒のフレームに入れ、ある程度カメラを固定する方がよいでしょう。

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★ポイント3 撮影時は左右のパンのみ

BIロッド(https://www2.lumica.co.jp/birod_sports)のようなハイアングルで撮影できる機材を使う場合などは特にそうですが、撮影する角度は固定して左右のパンだけで済むようにしましょう。撮影ポジションに到着したらまずはカメラを縦に動かさなくてもよい角度を探します。ピッチの手前のラインがぎりぎり映りつつ、左右に振っても映像が切れない角度とズームを探しましょう。最高の撮影角度が見つかったらカメラが縦方向に動かないように三脚とカメラの首の角度を固定してください。


①例えばピッチ右側でゲームが行われている場合、センターサークル付近に両チームの選手が密集していることが多いのでそこも画角におさまるよう撮影すると良いでしょう。


②上記の写真(①)のあと、DFから前線にロングボールが供給されました。その場合、いきなり左にカメラをパンするのではなく、ボールを見失わない程度にゆっくり動かしましょう。ボールの場所が変わったことにより、両チームの陣形がどのように変化したかも、のちのち分析する際に映像に残っていると都合が良いかと思います。

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こちらの3つのポイントを抑えつつ、撮影回数を重ねることで経験値をためて、より分析しやすい映像を撮影できるようテクニックを身に付けましょう!