【インターハイ2大会連続出場!!】中京大附属中京高等学校サッカー部、大野TC(テクニカルコーチ)インタビュー

2022.08.25 written by SPLYZA Inc.

2021年に続き2022年もインターハイ愛知県大会を制して、2大会連続での全国出場を勝ち取った中京大附属中京高等学校サッカー部(以下、中京大中京サッカー部)。強豪ひしめく愛知県の中で、見事に2大会連続インターハイ出場(2022年本戦はベスト16)という結果を残した中京大中京サッカー部にテクニカルコーチとして携わる大野さんに、去年に続き、今年の映像分析、チームの変化などについてお話を伺いました。


去年(2021年)に行われた大野さんへのインタビューはこちら。当時のチームにおける映像分析、トレーニング等を伺っています。
https://www.sportsanalyticslab.com/interview/chukyo-interview.html


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ーインターハイ愛知県大会2連覇おめでとうございます。

大野TC
ありがとうございます。今年も全国に出ることができて本当によかったです。去年の4年ぶりの全国出場で大きな反響があったり、チームとして良い経験ができて、今年も「絶対全国に行く」って想いがあったので、愛知県大会の優勝は本当に嬉しかったですね。

去年のチームはすごい良くて、僕らにとって、彼らが全国の扉を開けてくれたんですけど、そこから今年はインターハイベスト16進出できて、去年より一歩勝ち進むことができて、次は全国ベスト8以上に行きたいって心から思う選手も出てきて、チームにとってすごく良い影響がありましたね。







ー分析部は今も活動されていますか?

大野TC
もちろんです。今も活動してますし、色々進化しています。




ー具体的にどんな部分が去年から変化していますか?

大野TC
去年は、自分が入った年っていうのもあって「やるよーやるよー」って一緒に選手に言ってたんですけど、今年は選手もそれが当たり前っていう感じで、価値を感じて自主的にやってくれるようになってきました。

SPLTZATeamsに動画をアップロードして、それぞれ気づいた事を分析部で映像にコメントしているんですけど、そのコメントが端的なものではなくて、より具体的になったり、チームにプラスになるような書き方が多くなったと感じています。僕が大事にしている部分なんですが、それを選手たちも大事にしてくれていて、そういう部分でもかなりやりやすくなっています。







ー選手たちは主体的に動けるようになっているのでしょうか。

大野TC
主体的になってくれてると思います。求められてやるっていうよりも、自分達で判断して決めてやってくれてるんで。「ああそれやってほしかったんだよなー」っていうのが自分と重なったりだとか。この前あったのが、1年生に対して2、3年生がSPLYZATeamsでのコメントの仕方を教えたりだとか、分析部内での研修が自発的に行われてて「じゃあ実際にこの練習試合に対してタグ付け、コメントしてみよう」だとか、それも全部自分達でやってくれて、「ありがたいな、すごいな」って思いましたね。

あとは、今回「全国大会出場に向けてどんなことが分析部できるのか?」っていうのを話し合ったんですよ。そこで、自主的に情報を集めてきてくれたり、「注目選手はこういう選手」っていうレポートを作ってくれたりとか。こっちが指示しているわけじゃなくて、興味を持つから動けるっていうのはすごい増えてきたかなって思っています。




ー選手たちがレポートを作っているのですか?

大野TC
そうです。今の分析部は試合相手の情報をまとめて、スカウティングシートっていうレポートを作っています。それも最初に作ったものから、選手たち主体でどんどん改訂が行われていて、見やすさ、書きやすさだったり、必要なモノを必要なだけって考えて作ってくれています。そのスカウティングシートを使って、他チームの試合を見てレポート化してくれて、その情報はめちゃくちゃ力になっていますね。自分の時間をチームのために使って、スカウティングをしてくれている全部員に感謝しかないです。




ーインターハイ愛知県大会でレポート作りは行われていたんですか?

大野TC
もちろんやってくれていました。他チームの試合を見てからすぐにまとめてくれていました。僕はそのレポートを見てある程度理解するんですけど、細かいところは直接聞いてますね。「どんな印象だった?」って。その中で、「ああ、そういうふうに見えてるんだ」っていうのがあって、考え方もすごくしっかりしていて、自分も勉強になっています。ここはやっててすごく楽しい部分ですね。

こういった取り組みは、分析部としてみんな上手になっていますね。情報をまとめたり、人に伝えたりっていうのは、社会に出ても活きる能力だと思うので、選手たちの成長を感じる事ができてとても嬉しいです。




ーその他で去年から変わった事はありますか?

大野TC
分析部の話という訳ではないんですけど、一つチームとして大きく変わったのは紅白戦を撮影するようになった事ですね。選手たちに「撮影して良いですか?」って言われて「良いよー」ってやるんですけど、その映像をSPLYZATeamsにアップロードしてみんな良く見ています。

以前はどうしてもファーストチームの試合映像が多く、セカンドチーム以下の映像が少なくなっていたんです。ただ、紅白戦を撮影すると、セカンドチーム、U16の映像も多くなって、セカンドチーム以下の選手たちも映像に触れる機会が増えてきました。普段から自分のプレー映像を見ることができたり、それに対して周りからフィードバックもらえたりとかは、選手たちにとってプラスになっているっていうのはすごく思いますね。




ーチーム全体として映像に触れる機会は増えたのですね。

大野TC
そうですね。そのおかげもあって、スタッフと選手のコミュニケーションが増えたと思います。「あの映像のあのシュートよかったね」「あの動きよかったね」と、映像を共有しているのでプレーに関してかなり話しやすくなりました。

あと、選手同士もコミュニケーションを取りやすくなってると思います。これはトレーナーさんが気づいたのですが「選手たちがめっちゃ話してる」って。「この時にこうして欲しい」「あの場面どう考えたの?」とかすごい具体的に話していて、これは過去にはなかったと。




ー映像を見ることで、お互いをより深く知ってコミュニケーションを取れるようになっていったのでしょうか。

大野TC
それはあるかもしれないですね。コミュニケーションの量もそうですし、質も上がっていると思います。愛知県大会でも象徴的なシーンがあって、ハーフタイムにスタッフの僕たちが「今こういった問題が起きていると思っていて、解決して欲しい。どうしようか?」って問いかけると、選手の1人が「ボード貸してもらって良いですか?」って、他の選手もみんな並んで「ここでこうなって」って自分達でミーティングを初めて、僕と監督は少し離れて、選手達でコミュニケーションとって修正したというのがありました。これは限られた時間の中で良いコミュニケーションを取れる能力が無いとできない事だと思うので「すごいなー」って見てましたね。





(ハーフタイムに選手たちで話し合う様子)


ーそれはすごいですね。

大野TC
感心しました。あと、「素直になりなさい」と言っている影響もあると思います。「素直に話せるし、話してもらったことを素直に受け止められる人間になって欲しいな」っていうのはあって、そういう素直に言いたいことを言い合える環境ができるような指導を心がけています。

以前、紅白戦で良いシーンがあって、ボランチの選手がボール受けて、もう一回持ち替えてパス出そうとしたのが潰されたんですよ。それで、準備できてる前線の選手が「ダイレクトで出してよ」って、そしたらボランチの選手は都合が悪かったので出せなかったとは思うんですけど、「そうだった、ごめんね」っていったんですよ。なんてこと無いシーンに見えるんですが、前の選手は「欲しい」っていうのを素直に言えるし、ボランチの選手は、相手の立場から、自分は「ダイレクトで出すべきだった」って素直に要求を飲めるっていう場面があって、すごい良いシーンだなって思いました。

もうそのボランチの選手は「そこをダイレクトで出すために、体の向きはどうする?」という思考になっているので、問題を素直に受け入れて解決していく、という考え方が整理されて身についているので伸びていきますし、すごい良い選手だなと思っています。

1年生だけだとやっぱり自分の主張だけで終わるんですよ。「そっち行くなよ」とか「そっちけれよ」とか。「そうだね」ではなく「うるせえな」になっちゃうんですよ。めっちゃ素直に「そうだね、ごめんね」っていう、「ダイレクトで出せてたら1点だったね」っていう、受け取り方もそうだし、伝え方もそうだし、素直にお互い言える関係っていうのはすごいなって思いますね。そういう関係性を作れるような指導は、コミュニケーションをとりやすい環境作りとして重要かなと思いますね。




ーコミュニケーションを取れる関係性と、その材料として映像があるのは非常によさそうですね。チーム内での映像活用は上手くいってますか?

大野TC
上手く行っていると思います。チーム運営の仕組みとしてハマってきていますし、結果にも繋がっていると感じています。




ーそれでは、今後の映像活用について教えてください。

大野TC
今取り組んでいること、方向性は間違ってないという自信を持っています。去年から入って映像活用に力を入れてからインターハイ2大会連続出場という結果が出たことは紛れもない事実なので。ただそこをもっとブラッシュアップしていきたいなと。選手が映像に関わっていく、コメントを1個から2個に増やすなど、細かいところの活用の質を上げていければ良いなと思っています。





(左から、大野テクニカルコーチ、鈴村監督、木村ヘッドコーチ、笛川GKコーチ)