【インターハイBEST4】藤枝明誠高校男子バスケットボール部・金本監督&選手インタビュー

2022.11.09 written by SPLYZA Inc.

2022年インターハイでベスト4まで駒を進めた藤枝明誠高校男子バスケットボール部。全国の強豪校相手に競り勝ってきた軌跡を金本監督と選手たちにお話を伺いました。2019年に新人戦東海大会で優勝した際にインタビューもさせて貰っています。当時の記事はこちら



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ーインターハイ ベスト4おめでとうございます。率直な感想をお聞かせください。

金本監督
まず、すごく良い経験をさせていただいたなと思っています。常に「チームを勝たせるのは選手だよ」という声がけをしてきました。その背景には「コーチ陣に頼るなよ」という意図がありますが、今回はこの声がけが体現できたのではないかと思います。




ー僕自身も県の予選から試合を見ていましたが、監督自身、県の予選が始まる前からこのような結果になると思っていましたか。

金本監督
全く予想していませんでした。県大会の準決勝で前半26点ビハインドでハーフタイムに入った時は、「今年の夏はここで終わりか」と思ってしまう瞬間もありましたからね。でもそこで「ここで終わらせてはいけないチームだな」という思いが一瞬で浮かんで、頭を切り替えました。ハーフタイムで過去に行ってきた相手チームの分析をもとに、特徴を自チームに伝えました。その結果、後半で追いつき、4Q終了時で76-76でした。その後オーバータイムの5分間で約20点を獲得し、勝利してから、全国まで駆け上がっていったという形ですね。




ーインターハイでベスト4に入るということも想定していなかったということですか。

金本監督
そうですね。ですが、目標は全国制覇だったので、その手前の過程の部分の試合を1つ1つ勝っていこうという話はずっとしてました。早いうちから高望みをするのではなく、足元をしっかりと見つめて試合に望んだ結果が現れたのかなと思います。また、チャレンジャーとして大会に挑んだため、思い切ってプレーできたと思います。その思い切りがシュートの積極性を生み、初戦で130点取ることに繋がったのではないかなと思います。

さらに、今回は試合の時間が比較的統一されていたことと、宿泊した旅館の部屋割り、旅館の周りの環境が良く、良いサイクルができていたことも勝因の1つであると思っています。






ー逆に、インターハイで苦労したことはありますか。

金本監督
苦労はしてないですが、選手たちにずっと言っていたのは「名前で戦わないでね」ということですね。「この選手有名だから」とか「このチーム強いから」というところはミーティングでしつこく言ってましたね。メインコートでふわふわしないように、メインコートの写真を前日に撮って、その写真をみんなで見て緊張感を保ちました。




ー仙台大学付属明成高校に勝ったときの選手の様子はいかがでしたか。

金本監督
選手は次の試合のイメージを持っていましたね。先ほど述べた通り、日程が毎回ほとんど同じで、昼食を食べて選手でミーティング、そして夜はスタッフも含めたミーティングという流れが固定であった分、午後を有意義に使い、頭を整理することができましたね。




ー2019年の取材時は金本監督が相手チームの分析を行って、選手がその映像を見るという方法でスカウティングを行っていたと伺ったのですが、今年はスカウティングで何か変化がありましたか。

金本監督
今年は僕は僕で、選手は選手でスカウティングを行いました。選手のみでのスカウティング時間をつくり、選手の中で答えを出してもらいました。スカウティングでポイントだと思ったところはSPLYZA Teamsでタグを残してもらっています。その後、スタッフも入ったミーティングで選手の中で出た答えを伝えてもらいました。そして選手が出した答えと僕が出した答えをすり合わせて1つの答えを出すという流れでスカウティングを行いました。




ー藤枝明誠は様々な部署を設置し、選手が主体的に活動を行っているんですよね。その中にスカウティング部署もあるとのことですが、普段のスカウティング部署の活動を教えてください。

スカウティング部署
普段は練習試合などを撮影し、チームが次へ活かすことができるように、ビデオをSPLYZA Teamsにアップしています。また、時間がある時は、SPLYZA Teamsを使ったミーティングで用のタグ付けを行っています。




ー選手もしつつ、スカウティング部署もしていると思うのですが、選手目線でのSPLYZA Teamsの良さを教えてください。

スカウティング部署
自分のプレーを振り返ることができ、それをみんなで共有できるところがいい点だと思っています。スカウティング部署にいることで映像を見ることへの意識が大きくなったり、いいプレーを見返すことでモチベーションも上がります。






ースカウティング部署のやりがいはどのようなところですか。

スカウティング部署
動画を共有することで、選手1人1人の課題点が分かることで次の練習に活かすことができるし、その課題が練習で改善するとより良いプレーにつながると思います。その部分に1番関わることができる部署なのでやりがいは大きいです。

また、一度シューティングの際に、選手のシュートフォームを撮ってSPLYZA Teamsにあげようということがありました。このように自分たちで考えて実行できることも魅力の1つだと思います。




ーインターハイでのスケジュールはある程度統一されていたとのことですが、今回のスカウティング部署のスケジュールはどのような感じでしたか。

スカウティング部署
ホテルに帰って、昼食、休憩後に1時間程度自分たちでSPLYZA Teamsを使ってミーティング、お風呂、夕食、チームミーティングを行いました。1時間程度のミーティングでは、4つのグループに分かれて、1グループ1Qをタグ付けを行い、最後に全員で1Qずつ見ながらお互いに指摘しました。そして、最終的には明日どのようなポイントで戦うのかという答えを見つけて終了という形です。




ー今回選手主体のスカウティングを行ってみて、良さはありましたか。

金本監督
結局コートの中で戦うのは選手だから選手が気づいて、選手が判断して、選手がプレーで動けないとどうしようもないですし、コーチが気づいたことをひたすら聞いて動く頃にはもうシュート打たれてるじゃ意味がないので、自分たちで見て考えて喋ってアクションを起こすことは必要なことかなって思います。受け身の人間になってほしくないですね。自分で見て考えて行動するっていうことをきちんとやってほしいです。それがあってるか間違ってるかはどうでもよくて、考えてるとか意図があれば正解だと思います。こういう風にやろうねっていう土台の基準があるんだったら「そこに近づけるためにはこうすればいい」とか、「そこをもっと良くするためにはこういう風にしたほうがいいよね」みたいな、「こうすればもっといいもの作れるよね」というアドバイザー的なところは僕の仕事だと思ってます。

自分たちでの気づきも大事だと考えています。自分達で分析する時には、気づきのアンテナを自然とたてることができることを大事にしてほしいですね。

映像を用いて分析することで、口頭だけでは伝わらない背景の部分を理解することに繋がりました。実際の試合では、「それだめだ」という声がベンチの選手から飛び交うようになったので、僕が伝える必要が無くなりましたね。それによって+αの部分を僕が見ることができるようになりました。スカウティングのミーティングで話した部分を選手が抑えている分、自分がもっと別の視点から試合を見ることができるようになり、自分に余裕ができましたし、選手のおかげで戦いやすくなったということを実感しました。








ー選手たちでこれやろうと決めている分、試合でできていなかったら自分たちで言い合えるというのも1つ大きいポイントですね。

金本監督
タイムアウトの際も「自分たちで決めたことやろうよ」という声がけ1つでチームがまとまったり、「自分たちで決めたことはできているから、次はこのプレーを要求するよ」という声がけができたり、タイムアウトのたびに次が出せるというのは戦い方として楽ですね。




ー選手側から何か自分たちで分析を行ってみての感想はありますか。

選手
スカウティングで次の試合の対戦相手の強みを全員が理解して、相手の強みに対して対応できたという点が良かったです。ゲーム中でも試合入る時でもしっかり前持ってポイントを押さえることができていたというのは良かったと思います。

また、チーム全体で共通理解ができていて、ある程度相手を知った上で試合を行えたという点が良かったです。また、分析を行ったからこそ、コート内もベンチも声を積極的に出せていたと思います。




ー選手側の視点でインターハイでSPLYZA Teamsが役に立ったところはありましたか。

選手
自分たちが分析したのは次に繋がるようなところで、明日の試合は何がポイントかを主に分析していました。その日のゲームの反省もしたのですが、「リバウンドのボックスアウトは◯◯ができてなかったら明日のゲームもっと徹底してやろう」とかそういうところを自分達で分析できたから良かったと思います。金本先生もSPLYZA Teamsに直接描き込みをしてくれていたのでそれを自分たちで見てなるほどなって思うところもあったので、すごくありがたかったなと思います。




ー選手がスカウティングについて考える時間を持つことは大事ですね。強豪校だと常に選手が考えながらプレーしているかもしれないですが、考えてプレーしてもらうきっかけとして選手がスカウティングを行うというチームとしての動きをつくることは強豪校になるステップ、習慣としていいですね。

金本監督
これをチームの文化にしたいですね。「いい選手がいるからこのチームは勝てる」ではなく、「いい選手はそういうことを当たり前にやるチームだから、手強いチーム」というようになってほしいですね。






ーインターハイ終了後の選手たちの結果の捉え方はどうでしたか。

金本監督
選手はスコアを見て、ここまで戦えるんだという1つの自信になったと思います。しかし、満足はしていないという感じでした。ですが、目標として掲げている「全国制覇」が現実的なものになったのかなと思います。なので今はインターハイが終わってからもう1度頑張ろうという感覚を持っているのではないかと思います。強豪校に負けて「全国制覇は厳しいかも」ではなく、「ここまで戦えたから、また次頑張れば勝てるかも」というポジティブな思考を持っていると思いますし、選手の顔つきが変わったなと思います。




ーインターハイ終わっての感想をぜひキャプテンからもお願いします。

選手
正直、厳しい戦いが続くなって思ってて、それでも戦えたのは自分たちのバスケットをやり通してチーム全員で戦えたことがあると思います。その結果、ベスト4という結果につながってチームとしては自信がつきました。




ー今回の躍進のポイントをひとことで表すと何になりますか。

金本監督
チームワークですかね。ロードプリンス選手が加入して、リバウンドやブロックショットについて多くの声がけをしてくれたことによりチームがスッキリしたと思います。そして、チーム1人ひとりが大人になって、チーム全体がグッと引き締まったことが1番のポイントだったのではないかと思います。コミュニケーションが増えたことで、チームケミストリーのようなものが起こったのではないかと思います。




ー最後に次の目標をお願いします。

金本監督&選手
ウインターカップで優勝して、日本一になることです。




ーインタビューありがとうございました。優勝の瞬間を見れることを楽しみにしています。