【自分で考える力を養う】北海学園札幌高校男子ホッケー部・渡辺さんインタビュー

2022.10.03 written by SPLYZA Inc.

北海学園札幌高校の男子ホッケー部で顧問をされている渡辺健一さん。指導をするにあたって意識していることや懸ける思い、ホッケーに対する考えなどを伺いました。(インタビューは2022年9月14日にオンラインにて実施)



**

ー本日はよろしくお願いします。はじめに軽く自己紹介をお願いします。

渡辺さん
私は、札幌生まれの札幌育ちです。教師になって31年が経ちます。北海学園札幌高校の前身である札幌商業高校出身で、母校に戻って来たという形になります。自分自身ホッケーの経験は無かったのですが、着任した際に「部員5人のホッケー部を立て直してくれないか」と声をかけていただき、ホッケー部の指導を始めました。




ー31年というと非常に長い期間ですね!その中で大事にしている指導者としてのこだわりやマインドを教えてください。

渡辺さん
例えば、7限まで授業がある時は生徒の代わりに練習前の水撒きを行ったりやSPLYZA Teams、ONE TAP SPORTSといったアプリを導入したりなど、ホッケーに打ち込むことができる環境をつくってあげることが指導者としての役割であると考えています。

また、監督として戦術も考えますが、教員でもあるので、進路指導であったり、規律を守るとかであったり、そういったことを教えることも大事にしています。ホッケーができる環境づくりを意識しながら、日々指導者として生活しています。




ー北海学園札幌高校にはホッケー初心者の生徒も多いとのことですが、その生徒たちに対してどのような指導をされるのでしょうか。

渡辺さん
初心者からすると毎日が成長であるため、その成長を実感できるような指導を行っています。具体的には、打ったり止めたり走ったり、「どうすればボールが止まるのか」「どうしたら成功するのか」という理屈を考えさせる指導を行っています。今の子たちは物事を考えながらスポーツをしているため、その考える力をより促すような指導を行っています。







ー理屈を考える力をつけるためにSPLYZA Teamsを導入してくださったのでしょうか。

渡辺さん
生徒自身が自分でどう使うかというのも考えることができるのでその点が大きかったです。タグ付けもそこまで細かくする訳ではないですが、実際にタグ付けを行って、そこで何か発見を得ることができるということが重要になると思い、導入しました。生徒達が指導者の指示に従って行動するのではなく、自分達でタグをつけ、その結果を踏まえ、どう行動すべきか、したいか考える力を養うことが大事だと思っています。

また、スマートフォンが普及し、いつでもどこでも映像を見ることができるという点でも導入しました。勉強アプリのような形で、空いている時間や寝る前にちらっと見ることができるという点が非常に今どきで時短になるということが導入のきっかけの1つです。




ーホッケーだと中々撮影も難しそうですが、SPLYZA Teamsでの分析のためにビデオ撮影などで配慮している点などありますか。

渡辺さん
今年からビデオを新しくしました。Sports Analytics Labでおすすめされていたカーボン製の7.5mの「Bi Rod」を購入しました。とても軽くて持ち運びしやすく、この前のインターハイ(徳島)にも持って行きました。上から撮るとやはり見やすく、選手も試合を振り返りやすくなりますね。ビデオもSports Analytics Labでおすすめされていた「SONY Handycam HDR-CX680」を購入し、使用しています。

私自身、ICTを使うことはどのスポーツでも大事で、その環境を整えるためのお金はかけるべきだと考えています。(参照して頂いた記事:https://www.sportsanalyticslab.com/lifehack/equipment.html)




ーICTを用いたデータにも力を入れているということでしょうか。

渡辺さん
そうですね。今年は初めて分析担当の生徒を募集しましたが集まらず、現在は、ビデオを見てSPLYZA Teamsでスタッツを出す生徒を決めて取り組んでいる状況です。ですが、やはりきめ細かい分析をするとなると、分析をする人材を入れていく必要がありますね。

多くの試合を通して「どこにボールが多くとんでいるか」「相手チームはどこにボールを集めているか」といった確率、データを取ることができたらいいなという理想はあります。高校から競技を始めた生徒が多い学校が、小学校から競技を行ってきた人が集まったような学校と戦い、勝つためにはICTの活用、分析が必要ではないかと考えています。




ーSPLYZA Teamsを使用して「ここができるようになった!」という部分はありましたか。

渡辺さん
間違いなくボールポゼッション数は上がりました。ホッケーではポジションをいかに上手にとった上でパスを回せるかが大事になります。SPLYZA Teamsを活用することで「ここに相手がいるからこの選択をしたほうがいいよね」「ここでボールを取られてしまった理由はなんだろう」ということを自分たちで考えることができるようになったのではないかと思います。

また、生徒全員がSurfaceを所持しているので、どこでも試合映像を見ることができるという点が非常に良いです。遠征では、集まる場所がないホテルも多いので各自の確認ツールとして非常に便利です。選手と個別でミーティングをする際にも利用しています。




ー今までのお話の中で「自分で考える力」をとても重要視されていると感じたのですが、その理由は何かあるのでしょうか。

渡辺さん
誰かに1つ1つ指示されて行うスポーツというのは面白くないと思います。相手の動きに合わせて自分達で対応していくということには答えがなく、その答えを自分なりに考えるからスポーツは楽しいのではないでしょうか。また、教員の視点からすると、高校で何を身につけて、高校を卒業した後にどのように成長するかが大切だと考えています。高校で何かをできるようにするという点で自分で考える力を重要視しています。







ー考える力というものを促す手段として他に何か実践されていることはありますか。

渡辺さん
毎日生徒に日誌を書いてもらっています。これは女子部の方がしっかり書いていますね(笑)1つ目の理由として、ほとんどの生徒が進学するので「書く力」をつけてほしいと考えています。LINEの方がお互いに見やすいし、やりやすいと思いますが、大学の試験には小論文もあるので、紙に書かせています。また、同時に「考える力」をつけるためにも日誌を書かせています。

2つ目の理由として、自分と生徒がコミュニケーションを図る手段の1つとなるからです。グラウンドでは中々話す時間も取ることができないので、日誌では「『自分が思っていることを伝えたい』と思って書きなさい」というように伝えています。




ー日誌も書いているのですね。日誌やSPLYZA Teamsなど沢山のツールを活用している中で、北海学園札幌高校が目指すホッケーというのはどのようなものなのでしょうか。

渡辺さん
私たちは「人に感動を与えるホッケー」をしようということをモットーにしています。勝った試合に自分達だけで喜ぶよりも、誰かと一緒に喜ぶ、また誰かに褒められたりするとより嬉しいと私は考えています。勝っても負けても感情というものは出てくるので、勝ち負けに関わらず、家族、学校、地域などお世話になっている方々が感動するホッケーというのを目指しています。




ー北海道にはホッケー部が男子は1校、女子は2校という現状ですが、北海道におけるホッケーをこれからどのようにしていきたいですか。

渡辺さん
来年は北海道でインターハイが行われますし、北海学園札幌高校も会場として使われます。人工芝グラウンドになったことをきっかけに、最近日本ホッケー協会主催で「夢見るホッケー教室」が行われ、100人もの子どもが集まりました。人工芝グラウンドが街中で駅からも近いところにあるという利点も生かしつつ、小学生、中学生のホッケー普及を目指したいと考えています。








ーホッケー普及に向けて渡辺さんが考えるご自身の使命とは何でしょうか。

渡辺さん
スポーツの根源を支えるという意味でホッケー人口、ホッケーファミリーを増やしたいと考えています。人工芝グラウンドができて、立ち止まってホッケーを見る人も増えましたし、先日はさくらジャパンの選手がきて指導をしてくださいました。今までは田舎で行うことが多かったホッケーを都市型ホッケーにすることで多くの人が興味を示すような環境を作って、少しでもホッケーを知ってもらうということが使命であると考えています。




ーホッケー普及に向けて、ぜひこの場でもホッケーの楽しさをお聞きしたいです。

渡辺さん
道具を使うという難しさを乗り越えることに楽しさがあると考えています。ホッケーは道具を使うということがとても難しいです。また、道具を使う上に、低い姿勢で跳んだり走ったりするのでとても難しいです。しかし、道具を使う難しさはありながらも、それができるようになると楽しいと思います。サッカーのフィールドよりひと回り小さいコートですが、早ければ10秒で攻めることもできます。そのスピーディーさ、パスの展開の速さもホッケーの楽しみの1つだと思います。




ーぜひ、このホッケーの楽しさが伝わり、ホッケーファミリーが増えてほしいですね。最後にご自身の目標、チームの目標をお願いします。

渡辺さん
まず、自分の目標としては後継者づくりですね。女子部の監督は私の教え子なので、もう1人教え子が指導者になってくれたらいいなとは思っています。チームの短期的目標としては、北海道インターハイで最低ベスト8です。




ー以上でインタビューを終わります。これからの渡辺さん、北海学園札幌高校ホッケー部のご活躍に期待してます。お時間をいただきありがとうございました。