【TIPS】映像分析の出発点:スポーツの試合映像撮影機材の「選び方の極意」教えます!(2024年版)
2024.10.24 written by Tatsuya Toyama(SPLYZA Inc.)
「試合を撮影して映像分析をしよう!」と思い立った時、まず撮影機材は何を揃えようかと考える方も多いはずです。そこで、今回はSPLYZA
Teamsで様々なチームのスポーツ映像分析をサポートしてきたSPLYZAが、オススメの撮影機材を屋外スポーツと屋内スポーツに分けてご紹介します。
★おすすめランキング#1【Osmo Action 4 × オリジナル自立ロッド(4m・7m)】
まず最初におすすめしたいのが、DJI社の「Osmo Action 4」です。Osmo Action 4は、スポーツ試合の撮影にも最適なアクションカメラ、高画質かつ高フレームレート、加えて手ブレ補正など、スポーツ撮影に必要な機能が満載となっています。
以下に、実際に使用してみてのおすすめポイントをまとめました。
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撮影した動画が分割されない。
- アクションカメラの一部のモデルは長い撮影になるとファイルが自動的に分割されてしまうが、Osmo Action 4は分割されない。
- 専用のiPhoneアプリがあり、地上でモニタリングを行ったり、遠隔操作も可能。
- GoProの一部モデルではこれができなくなっている。
- 遠隔操作は録画ボタン以外にも、解像度や画角(狭角、標準、広角、超広角)を変えたり、ズームしたりすることも可能。
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暗所での撮影に強い。
- 夜の室内練習などでも問題なく撮影可能。
これに加えて自立式のロッドを併せて使うことでどんなスポーツでも撮影が可能となります。のちほど紹介する「Bi Rod」を使っていただくのもOKですし、よりコストカットを考えたい場合は自立式のロッドを自作しても良いでしょう。既製品を購入するよりも出費を抑えることがでるかと思います。
▼以下の写真はキャンプ用テントのテントポール等を使って自作した4m仕様のもの *制作費用: 2万円以下
なお今回は室内競技の撮影を想定していたため4m仕様となっていますが、サッカーなどのフィールドの広い屋外競技の場合は7mほどあれば問題ないかと思われます。
ちなみに、自作ロッドについては以下のツイートを参考にしながら作成しました。できるだけ安価で済ませたい…という方は是非DIYでのオリジナルロッド作りに挑戦してみてはいかがでしょうか。
GoProとジンバルを除いた7m自立ロッドのために必要なパーツは以下のとおりです。合計で17,509円#BIGBLUES八千代ベイ東京 #BIGBLUES #BBer #トップイーストもいいぞ #TYRod #BIRod #高所撮影https://t.co/rE9eFO2y8M ←1つで4m、2つで7mhttps://t.co/thrD0rPCNmhttps://t.co/D5lShdypcd pic.twitter.com/6qIt4EUXWs
— 山崎 徹 (@toruy_pvds) April 18, 2023
▼撮影した映像はこちら
Osmo Action 4は(こちらものちほど紹介する)Go Proに比べると安価でかつ、スポーツの映像撮影に適したスペックとなっています。加えて、繰り返しになりますがBi Rodを購入するよりも、ロッドを自作することで出費を抑え「高品質 + 低コスト」での導入も実現可能です。DIYの工程を含めると多少難易度は高くなってしまいますが、この機会にチャレンジしてみるのも良いかもしれません。
★おすすめランキング#2【ビデオカメラ × Bi Rod】
高校・中学の部活動では、既にビデオカメラは部で持っている。という場合も多いかと思います。特に屋外スポーツのサッカー・ラグビー・ラクロスの映像撮影において、ビデオカメラはズーム機能や広角レンズなどの機能があり大変重宝します。
「ビデオカメラを持っていない」「どんなビデオカメラを買えば良いかわからない」というお悩みもあるかと思いますので、その場合の"購入前に抑えて欲しい3つのポイント"があります。
- Wi-Fiモデルのビデオカメラを選ぶ
- カメラのバッテリーは複数試合を撮影するのにもつかどうか
- 広角レンズのモデルを選ぶ
そのうえでおすすめしたいカメラは、「SONY Handycam HDR-CX680」です。
SPLYZAイチオシの「スポーツの試合映像撮影」に最適なビデオカメラは…こちらの【SONY Handycam HDR-CX680?】ポイントは①Wi-Fiモデル?②バッテリー長持ち?③広角レンズ?さらに高所撮影機材【Bi Rod】と組み合わせて使うと鬼に金棒?オススメです??https://t.co/SoToZFBR8v
— SPLYZA Teams (@SplyzaTeams) June 3, 2021
こちらは上記で挙げた3つの撮影ポイントを全て網羅しているモデルで、光学30倍ズームでラグビーのスクラムシーンのアップ撮影もバッチリです。
加えて、このビデオカメラとセットで利用して頂きたいのが「Bi Rod」という高所撮影機材です。Bi Rodは地上にいながら最大7.5mの高さから撮影できるロングロッドです。
どのような映像が撮影出来るかは、こちらの写真でご確認ください。カメラの性能にもよりますが、サッカーのグラウンドであれば、まるでプロの試合を見ているような高さから試合映像を見ることが出来ます。
この高さから撮影出来る点でも大きなメリットではあるのですが、他にも良い点があります。それは「軽い・持ち運びしやすい」という点です。
▼以下の写真は7.5mフルカーボン製仕様のもの
重さも約1.6kgと大変持ち運びやすいです。このように、Bi Rodはサッカー、ラグビー、ラクロスなどの屋外スポーツを撮影するにと適しているといえます。
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続いてビデオカメラ × Bi Rodを活用した撮影方法をご紹介します。
まず、ロッドの先端にカメラをセットして撮影します。地上にいながらロッドの先端にあるカメラの映像を確認でき、Wi-Fiモデルのカメラであれば専用のスマートフォンアプリで遠隔操作が可能です。もちろん、今回おすすめしているSONY Handycam HDR-CX680でも「Imaging Edge Mobile」という専用のスマートフォンアプリがあり、遠隔操作と映像の確認ができます。
▼Bi Rodの撮影風景
また、Bi Rodには2種類の素材で製品が展開しています。フルカーボン製とグラスファイバー製です。値段はフルカーボンの方が2倍程度高くなっています。
なお、購入する場合はフルカーボン製をおすすめします。理由としては、グラスファイバー製では風でのしなりが強く撮影映像が大きく揺れてしまう為です。フルカーボンでも風の強い場合はかなり揺れてしまいますが、グラスファイバー製ほどではありません。
重ねて、Bi Rodは長さも3種類あり、4.5m / 7.5m / 11.5mがあります。11.5mまでの高さはスポーツの撮影では必要無いと思いますので、4.5m / 7.5mのどちらかで選ぶのが良いでしょう。個人的には4.5mでも問題は無いと思いますが、実際の映像を見て比較して頂ければと思います。
▼4.5mで撮影
▼7.5mで撮影
懸念点としは、SPLYZA Teamsとの併用の場合「ライブタグが実施しづらい」「動画アップロードの際の手順が増えてしまう」という点があります。SPLYZA Teamsを活用する上でライブタグを重視したい方は、事前にビデオカメラでのライブタグ利用方法をSPLYZAの担当者に確認して頂ければと思います。
一応デメリットも書き加えておきます。最初におすすすめした組み合わせに比べて、圧倒的に導入コストが高くついてしまう点です。HDR-CX680は79,000円、Bi Rodの7.5mフルカーボンは71,280円とどちらも決して安いとは言えません。ただ、その分に試合を見返すのが楽しくなるのは間違いありません。
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オススメ度No.2のご紹介の前に、上級者向けの撮影機材をご紹介致します。それは「GoPro × Bi Rod」です。 GoProはアクションカメラで耐久性に優れており、軽くて持ち運びに便利です。そして、GoProはSONY Handycam HDR-CX680よりも安い。
▼「GoPro × BiRod × Bi 電動雲台」で撮影した映像
但し、撮影した映像ファイルがかなり大きくなってしまい、ファイル転送に時間がかかる。加えて、通信環境が良いところでないとSPLYZA Teamsへのアップロードにかなりの時間がかかってしまう。という問題点があります。アップロードする方の通信環境が良い場合は、 GoProをオススメしたいのですが、そうではない人もいるかと思います。
だからこそ「GoPro × BiRod × Bi 電動雲台」は上級者向けの撮影機材セットといえます。通信環境が整っている方でしたらGoProを導入してみてはいかがでしょうか。(*GoPro9は専用アプリでのプレビューが見ることが出来ません。GoPro8もしくはGoPro7をお選び下さい。)
★おすすめランキング#3【iPhone / iPad × アルミ製伸縮ハシゴ】
新しくビデオカメラやBi Rodを買う予算は無い。出来れば、生徒のiPhoneや学校のiPadで撮影したい。ホームグラウンドでの撮影で高さが欲しい。そんな方にオススメな組み合わせです。
多くのみなさんがスマートフォンとして利用しているiPhone。また、最近の教育現場ではICTの推進によって学校でiPadを利用することが多いと伺います。
iPhoneやiPadは屋外スポーツの撮影でも活用出来るのか?答えはYesです。SPLYZA Teamsを活用するにあたり、iPhoneやiPadを活用すると、動画アップロードがしやすく、ライブタグもしやすいことが特徴です。そこでオススメしたいのが「アルミ製伸縮ハシゴ」になります。
アルミ製伸縮ハシゴは通常なら工事現場などでの用途がメインかと思いますが、この高さを利用して屋外スポーツの撮影も可能です。
Amazonや楽天市場で「伸縮ハシゴ」で検索すれば様々な製品が出てきますが、私どもが購入したものでご紹介させて頂きます。サイズは3.1m+3.1m。積載量は150kg。本体重量は20kg。キャスター付きです。現在、Amazonで同一商品は在庫切れていますが、購入当時は約20,000円程度でした。
このハシゴを活用した撮影手法は様々なやり方がありますが、一例としてはこのような形になります。
▼実際の撮影の様子
▼この「伸縮ハシゴ」の高さから撮影された映像はこちら
という訳で、映像のクオリティが問題なければこのアルミ伸縮ハシゴもご検討ください!
ここで、デメリットもお伝えしておきます。それは重量です。この伸縮ハシゴは20kgもあるのでかなり重いです。学校で置いておくだけであれば大きな問題は無いのですが、他の会場に運ぶには必ず車で移動させなければ危険です。車からグラウンドまで距離がある場合も一苦労。この点は必ず考慮に入れて頂ければと思います。
★おすすめランキング#4【 iPhone / iPad × アルミ作業台】
アルミ作業台は筆者が小学生のサッカーチームでも実際に利用している高所撮影機材です。Amazonや楽天市場で「アルミ作業台」で検索すれば様々なものが出てきますが、私がホームセンターのCAINZで購入したものでご紹介させて頂きます。
高さは78.5cm。積載量は100kg。本体重量は5kg。一番上の作業台は幅89 × 奥行44.5ということで、成人男性が上に余裕で立てるスペースはあります。値段は5,480円(税込)でした。
▼アルミ作業台での撮影の様子
▼この作業台から撮影された映像はこちら
小学生8人制サッカーのコート(縦68m × 横50m)であれば、この高さでも十分に俯瞰して見えるといえます。但し、11人制のFIFA推奨コートサイズ(縦105m × 横68m)だと物足りなさはあるかもしれません。
しかし、アルミ作業台の良いところは他の機材と比べて圧倒的に安く、軽いことです。今回紹介したCAINZのアルミ作業台(3段)は折りたたみも可能です。多くの類似のアルミ作業台は折りたたみが可能です。この大きさであれば、車にも余裕で積み込みことが可能です。そして、片手で運ぶことが出来ます。小学生世代の撮影では大変オススメです。
★番外編: SPLYZA Teamsを活用した撮影機材ならもう1択!【iPhone / iPad × 三脚】
屋内スポーツであるバスケットボールやハンドボール、バレーボールを行う体育館は多くの施設で2階からの撮影が可能です。そこで高さをわざわざ出す必要が無いことがほとんどです。また、コートの大きさもサッカーやラグビーのように大きくありません。そのため、広角レンズのカメラを選定する必要もないのです。
そんな環境でSPLYZA Teamsをフル活用するのであれば、撮影カメラはiPhone・iPadが良いです。ライブタグの活用、動画撮影後のアップロードのしやすさ。この点から考えてiPhone・iPadがベストと言えます。そして、是非、三脚をご活用頂ければと思います。
過去記事「【TIPS】映像を分析する前に…まずは”撮影のテクニック”を身につけよう!」にもあるように手ブレ防止の為、撮影者の負担軽減の観点からも三脚の利用を推奨させて頂きます。
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以上、スポーツ撮影機材の選び方極意でした。
SPLYZA Teams利用を検討されているチームの皆様はどう撮影するのか?という問題には必ずぶつかると思います。また、現時点で活用されている方々も現状に満足されていない方はこの記事を参考にして頂ければ嬉しい限りです!
プロフィール:外山 達哉 (Tatsuya Toyama) セールス/Webマーケティング
静岡県浜松市出身。高校卒業後、日本大学文理学部体育学科に進学。在学中は東京都大学サッカー連盟の幹事長を務め、大学スポーツの運営を経験。新聞社グループの広告会社からキャリアをスタートし、その後、Web広告業界へ転職。スマートフォン広告のアカウントプランナーを2社で経験。2017年、静岡へUターンを期にWeb制作会社を経て、2020年から株式会社SPLYZAにジョイン。SPLYZAでは、Webマーケティング、セールスに従事する傍ら、地元のサッカー少年団でコーチをしている。
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