【サッカーはサッカーをすることで上手くなる】プレーの良し悪しを左右する「4つのフェーズ」とは?

2021.06.07 written by Sho Sasaki(SPLYZA Inc.)

サッカーはサッカーをすることで上手くなる

海外、特にヨーロッパのサッカークラブではU-8(8歳以下)の選手達であっても、常にサッカーの要素(※注1)をより多く含むトレーニングを行っている事が多い。もしくは技術面に特化しているトレーニングであっても、シンプルな反復練習ではなく刻々と状況が変化する中で判断を伴う要素が含まれているケースが多い。

注1) サッカーの要素:コート/ゴールの有無/攻撃(守備)方向の有無/味方/相手/ボール/ルール

下記の事例は、センターバックの選手がボールを保持している時の右サイドバックの選手の4つのフェーズ(※注2)である。

@認知:相手が前方にいない、スペースがある、
A判断:相手がプレスに来たら折り返し戻す?来なければ相手を引き出すドリブル?
B決断:相手が来ないから、前方へドリブルしよう
C実行:ドリブル開始



要はサッカーの要素をより多く含んだ状況で、認知・判断・決断を積極的に選手自身に促し、その環境下で技術も共に高めていきましょう、という考えが育成年代からの基盤として根付いているのである。

注2)プレーのフェーズ
@認知:味方・相手・スペースなどの状況を把握すること
A判断:起こりうる複数のプレーを選択肢として持つこと
B決断:その状況での最適解を自ら決断すること
C実行:プレーの実行(技術面)


本当に日本人はサッカーが上手くないのか?

そんな中、日本人はボールを扱うテクニックはあるがサッカーが上手くない、という事を海外の指導者からよく耳にしたり、書籍でも目にする事が多くなった。これは育成年代初期でのトレーニングがC=『実行』(注2)にフォーカスされ過ぎている事が要因であると睨んでいる。



つまり育成年代初期でボールを扱う技術のみを受け身で教わり続けた結果(=考える要素が少ない反復練習)、サッカーの要素の中の様々な状況変化に応じて自分の頭で考え、最適解をその場で瞬間的に導き出せる選手が少ない(プレーの判断ミス)のが現状の課題として浮き彫りになってしまっていると言える。

もちろん、サッカーを楽しむために技術練習の反復練習も場合によっては必要である。


映像を利用する事の優位性

私自身、小学生〜中学生年代での指導を中心に映像を用いたプレーのフィードバックを実施していた経験があるが、映像を用いることの最大のメリットは選手達へ『@=認知』+『A=判断』の土台を固める事ができる部分だと感じている。



@〜Aの土台を固めた上で自チームのプレーモデルやプレー原則を選手達へ落とし込むことで、選手自らが『B=プレーの決断』へとスムーズにつなげていく事が可能となる。(※プレーモデルについてはここでは割愛)

この@〜Bを刻々と状況が変化する中で一瞬で行い、ようやく『C=実行』というフェーズに移行するわけである。

したがって、指導者側が表面上に見える事象(C実行=技術面のミス、ポジショニングが悪いetc…)だけを評価して選手に指導をすると、本来その選手が課題としている部分を見逃して成長機会を失うことになりかねない。


どのフェーズでの課題克服が大事なのかを指導者や選手自身が見極める

つまり、そもそも『認知』の部分で上手くとらえられていないから『実行』もうまくいかなかったのか、『判断』の部分が間違っていたから実行がうまくいかなかったのか、など選手達の成長に寄与していくためには表面上では見えない脳内の思考を可視化して、汲み取った上で適切なアプローチを行う必要が不可欠なのである。



これらを理解していただいた上で、育成年代と言えどもいかに早い段階で技術と共に『認知』『判断』『決断』スキルを高めることが出来るのか、選手の成長という側面から指導者冥利に尽きる大きなテーマになるのではないだろうか。SPLYZA Teamsがその成長の一助となれる事を期待している。

プロフィール:佐々木翔 (Sho Sasaki)

福岡県福岡市出身。大学在学中に高校の外部指導者として活動をスタート。その後、バルセロナの育成哲学を普及していくサッカースクールを筆頭に、ドルトムントサッカーアカデミー、Jリーグクラブアカデミーなど複数クラブでの指導経験を持つ。生まれ育った福岡を中心として、九州エリアのスポーツ文化を更に発展させていくべく日々楽しみながら活動をしている。