サッカー漫画に出てくる”分析”を担当するキャラクター特集

2020.08.27 written by Ryusuke Makishima(SPLYZA Inc.)

映像技術の発展により、スポーツの試合やスター選手のスーパープレー・自分の試合・プレーを気軽に見れるようになりましたね。その影響もあってか近年スポーツの分野において「分析」というものが重要になってきました。相手チームの分析・自チームの分析・個人の分析など目的は多くありますが、全ては上手くなるため・相手に勝つために取り組まれています。

私は漫画が好きで、今までいろんな漫画を読んできました。そこで気づいたことが、時代とともに漫画の世界にも当たり前のように「分析」を行う描写が入ってきていることです。全てのスポーツ漫画について網羅していこうと思うのですが、今回はサッカー漫画について話をしていきたいと思います。なおサッカー漫画において、チーム内で分析をする役割としては…(1).監督 (2).アナリスト (3).マネージャー (4).選手自身の4パターンが存在しています。それでは順に紹介していきます。


(1).監督



監督やコーチが分析するというのはみなさんイメージできますよね。ただ、監督・コーチが分析するのって実はかなり大変なんです。相手と自分たちの映像を見て、作戦を立てて練習を組んで。クラブチームならともかく、部活動の顧問の先生となるとプラスで授業などの学校業務まで!元々そのような環境に身を置いていた者としては、それが楽しい部分でもあったんですが。

で、監督にフォーカスするならば外せないのがこの漫画【GIANT KILLING】です。そのタイトル通り、漫画の中でもリーグ下位常連の”ETU”が強豪チームを倒していくストーリー展開なのですが、この漫画で出てくる2人の監督が半端ないんです。それが「達海 猛」と「佐倉 ひとし」。元スーパースター選手の達海と、選手としては全く実力のなかった佐倉。対照的な経歴の2人なんですが監督としてのスタイルはかなり似ているんです。

それは相手チームの映像を見て徹底的に分析し、相手の嫌がるサッカーに合わせて試合をしていくという部分。分析を夜通し行っているシーンも漫画には出てきます。サッカーをプレーするのと指揮するのは全くの別物。サッカーを勉強し情熱を注げるかが大事なんだと感じました。サッカー選手を諦めてしまっても監督やコーチといった指導者としてプロの世界に挑戦するのもワクワクしますね。

■GIANT KILLING (20巻)
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■GIANT KILLING (21巻)
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(2).アナリスト



「アナリスト」はチーム内にいる分析専門のスタッフの呼称であり、スカウティングや自チーム分析などが日本でも主流になってきて以降、よく聞く言葉になりました。最近では大学のレベルになると”学生アナリスト”としてチームに貢献する人も多いようです。

さて、サッカー漫画にアナリストとして登場するキャラクターとしては、【キャプテン翼】の「井出 保」と【フットボールネーション】の「嵯峨」の2名をピックアップしたいと思います。

キャプテン翼といえば「ドライブシュート」や「雷獣シュート」などの必殺技で勝負するイメージですが、その戦いの裏には実は井出のデータが生かされている場面が多いです。

嵯峨は初め選手として東京クルセイドに入団を希望。しかしあまりにもひ弱な体で不合格となります。ただ、サッカーを見る目は凄かった。その場で現在の東京クルセイドの弱点を指摘。そして入団が決定します。嵯峨の仕事は自チームの分析や相手チームのスカウティング。相手チームの攻撃守備のスタイルだけでなく個人の特徴や時間帯・点差に応じて相手がどう変化していくかなど細かく分析します。ストーリーの中にはFKの時に相手GKの癖を見つけ、キッカーの沖はその情報を生かし直接決めるシーンなどもあったりします。

「スポーツに関わる職業」というと監督やコーチ、選手といったコアな部分しか連想できなかったりしますが、実はチームの中にも運営スタッフや用具係、専属のトレーナーや分析班など様々な役割を持つ人間がいるということを「スポーツに関わる仕事をしたいけど選手は無理だし..」と考えている方に是非知って欲しいと思います。

■キャプテン翼 ライジングサン (12巻)
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■フットボールネーション (1巻)
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(3).マネージャー



「マネージャー」は直訳すると”経営者”や”支配人”となりますが、例えば日本の部活動だと用具係やホペイロ(スペイン語)を指す言葉にあたります。これまで私が所属してきたチームにも多くのマネージャーが在籍していました。選手と同じようにずっと外にいて水・アイシングの準備やビブスの洗濯、雑務など裏方の仕事を多くしてもらい欠かせない存在でした。

ちなみに初めてこの漫画を見たときに、そんなマネージャーについに分析までするようになったかと驚きました。その漫画というのが【DAYS】の「生方 千加子」というキャラクターです。

なんとなく入部した当初は愚直に努力する主人公のつくしに苛立っているものの、だんだん彼女に影響を受け相手チームの偵察・分析などを行い、試合前に選手に情報の最終確認までするほどに成長します。

ただ、真っ直ぐな性格の彼女は頑張りすぎて梁山戦の前に倒れてしまいます。ここで選手はいかに彼女に支えられていたかを実感。サッカー未経験だった千加子がここまでしてくれてるのに選手は頑張らない訳ないですよね。全国の女子マネージャーさんには是非、やりがいのある仕事として分析業をおすすめしたいです。

■DAYS (1巻)
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(4).選手自身



【ブルーロック】や【アオアシ】など、選手自身が映像を見るシーンが出てくる漫画が増えてきてますが、ここで注目したいのは【TIEMPO】という漫画です。主人公「瀬戸 柚樹」は中学時代の先輩「朝美」に怒られるのが怖く、彼の仕草・パスの回転数・行動パターンを徹底的に分析。部屋の一面に彼の顔写真やらプレーデータを壁一面に貼るほど。よっぽど先輩が怖かったんでしょうね。

この柚樹の分析能力も面白いのですが、注目すべきは柚樹が進学する「春日高校」です。この高校は今までのサッカー漫画とは大きな違いがあります。それが「選手主体」であること。つまり指導者がいないんです。練習メニューから試合の戦術まで自分たちで考える。また下級生の練習の様子をキャプテンが練習後にPCで確認するという流れをとっています。 選手が主体的に自分たちの試合の反省をし、相手チームの映像を確認したのちにMTGをする。自分の映像を見て自分の中での練習のテーマを持って取り組んでくれる。こんな習慣ができているチームは個人的にも最高だなと思います。

“自分の映像を見る”ってすごく大事ですよね。自分の思っていたイメージとのズレを確認できたり、見えていなかったコース・スペースが確認できたり。そもそもその競技の勉強にもなりますし、他にも認知であったり、技術的な上達にも繋がると思います。

■ティエンポ (1巻)
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今回はサッカー漫画を取り上げて見ましたが、改めてスポーツの中に「映像」や「分析」という文化が根付くのが当たり前の世界になってくるのかなと思います。漫画のことを考えながら文章を書いていたら無性に漫画喫茶に行きたくなってきました!ただ、このコロナ禍でネットカフェに気軽に行けなくなったのはなんとも悩ましい限りです…。

プロフィール:槙島隆介(Ryusuke Makishima) セールス/関西エリア担当

滝川第二高校・関西学院大学出身。卒業後は近江高校で指導者としてサッカーに携わってきました。スポーツ界がもっと盛り上がるように活動していきたいです。現在は土日休みの生活を満喫中。

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