"勝利"と"選手の主体的参加"を両立する!東京成徳大学高校女子バスケ部がチーム全員で取り組む映像分析【セミナーレポート】

2023.06.21 written by SPLYZA Inc.

インターハイやウインターカップで毎年好成績を収める強豪チームでありながら、近年はトップダウンではなく、選手からの意見や発信も取り入れた「双方向型」の指導を実践されている東京成徳大学高校女子バスケットボール部。今回は同部の小林監督にSPLYZA主催セミナーに出演いただき、チームでの"映像分析"への取り組み方の変遷に触れつつ、選手の主体性を高める指導法について対談形式でお話しいただきました。その当日の内容を一部抜粋してご紹介します。


セミナーゲスト

東京成徳大学高校女子バスケットボール部監督 小林 康裕 氏



※2023年5月29日(月)に開催した当ウェビナーのアーカイブ動画を無料で視聴いただけます!(アーカイブ視聴のお申し込みはこちら)


指導の在り方について

ー普段指導をする中で意識されていることは何ですか。

小林監督:
SPLYZA Teamsを通じて選手たちからの気づきを取り入れた、双方向型の指導を心がけています。

ー指導を始められた初期は、今とは違う指導方針だったのでしょうか。

小林監督:
初期は双方向型ではなく、指導者側からの発信を中心とした指導を行っていましたね。

ーそれでは、「もっと選手からの発信を取り入れていこう」と指導方針を切り替えられた理由は何かあるのでしょうか。

小林監督:
指導方針の切り替えとは少し違うのですが、私は”他者貢献”を大事にしています。伝統校としてもちろん勝利にこだわりますが、勝てば何でもOKというわけではありません。他者貢献の積み重ねによって、最終的には勝利へと繋がると考えています。この思いはずっと変わっておらず、どのように表現していけば良いのか、長い期間を経て醸成していき、現在の指導方針になりました。

ー試合に勝つことを求めたときに、指導者が全て率いて指導していく方法(=トップダウン)で好成績を残し続けているチームもあると思います。好成績を残すことと、選手からの主体的な参加や発信も取り入れた指導、これらを両立していくことは可能なのでしょうか。

小林監督:
可能だと信じてやり続けています!たとえ全国大会前だとしても、こちらからガチガチに引っ張っていくのではなく、ヒントを与えながら選手たちに考えさせ、練習に取り入れていくようにしています。


映像分析の取り組みの変遷

ーSPLYZA Teamsをご利用になる前から、映像の活用はされていたのでしょうか。

小林監督:
映像の活用はSPLYZA Teams利用前もしていましたが、発信の主体は指導者側であり、かつ(双方向型ではなく)一方通行型でした。



ーSPLYZA Teamsを知ったきっかけはありますでしょうか。

小林監督:
紹介をきっかけに知りましたが、教育的価値の高いものを取り入れていきたいという意向と合致し、導入・活用に至りました。

ーSPLYZA Teams導入直後から、選手たちは主体的に発信をしてくれたのですか。

小林監督:
いえ、導入時期は指導者側もかなり手をかけて、担当の割り振りをするなど先導していきました。現在は分析班のようなユニットを組んだ分析体制が確立できていますが、最初は指導者が手伝いながら、選手に「自分たちでできる」と自信をつけてもらい、徐々に今のようなサイクルになっています。

ーSPLYZA Teamsで選手たちが分析した内容を、日々の練習にも取り入れているのでしょうか。

小林監督:
取り入れています!選手同士でミーティングをさせながら指導者からもアドバイスしていき、描き込みや分析を見て練習内容を変えたりしています。ベンチから見ている景色とコート上から見る景色は確実に違いますので、そのときに見えている景色を取り入れてあげることにより、「それを解決したくて練習する」というモチベーションにもつなげてあげたいと思っています。

ープレーや戦術の枠組みづくりなどにも選手の意見を取り入れていれているのでしょうか。

小林監督:
戦術にまではまだ取り入れていません。ただ、試合中は選手たちの判断力が大事になってくるので、戦術は指導者側が用意したシステムの中でつくっていき、そのシステムの中で試合中は選手自身が判断できるように、選手たちの意見を日々取り入れながらやっているイメージですね。


映像分析にかかわる具体的な取り組み内容

選手が主体的に実施するミーティング(基本的に毎週実施)
→選手が自分たちの映像を振り返りながら、まとめ・発表まで行う



-この「選手ミーティング」を始めることになったきっかけは何ですか。

小林監督:
選手たちとの相談の中で、文字化して共有できたら良いというアイデアがあり、この取り組みを開始することになりました。

-「選手ミーティング」の取り組み自体、選手の発案がきっかけなのですね。こうした取り組みを単発で終わらせず、チーム内で習慣化させて長く継続していく秘訣はあるのでしょうか。

小林監督:
分析内容の良い点は評価しつつ、チームとしてさらに良くなるために何ができるのか考え、そのアウトプット内容を実際の練習に取り入れることによって、「分析した価値がある」、「分析内容が活かされている」と選手に思ってもらえるよう意識しています。継続できている秘訣はそこじゃないかと思います。

小林監督から選手に対する映像を通じたアドバイス

ーSPLYZA Teamsの描き込み機能を使って選手へアドバイスをする際、どこまで具体的な内容を選手に伝えるようにしていますか。

小林監督:
プレーの正解・答えを伝えるのではなく、選手たちが自分で考えて自力で答えに辿り着けるよう余白を残したアウトプットを心がけています。

ー選手たちの分析内容を、チームに取り入れるか取り入れないかの線引きの基準はあるのでしょうか。

小林監督:
チームのコンセプトと選手からのアウトプット内容を組み合わせてうまくチーム活動に取り入れるようにしています。選手が主体的に分析に取り組んでくれること自体に価値があると思うので、採用する/しないは関係なく、全体での発表時には全ての分析内容を報告しています。


最後に、今後について

ー今後さらにチャレンジしていきたいことをお聞かせください!

小林監督:
自チーム(=高校バスケ部)での取り組みはかなり習慣化もされてきたので、今後はカテゴリを横断した取り組みも模索していきたいです。高校での分析の取り組みを通じてアナリストに興味を持ち、バスケ部のアナリストとして大学に進学した卒業生がいますが、彼女のような例がもっと増えてほしいと願っています。大学カテゴリと連携した取り組みも考えられますよね。

また、(系列の東京成徳大学)中学校でもSPLYZA Teamsを活用した取り組みが始まったので、中高で連携した分析発表会などの取り組みを今後していければと思っています。

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