【ラグビーW杯】日本代表vsアイルランド代表のキック戦術分析

2019.10.04 written by Gaku Morita(SPLYZA Inc.)

日本代表は開幕戦ロシア代表と戦い勝利。2戦目は強豪アイルランド代表との試合を見事に19-12で制し、プール戦突破に大きく前進しました。今回はこの試合の「キック」に着目し、アイルランドのキックの狙いを分析してみました。

※これらのデータはSPLYZA Teamsによって集計されています。

★試合ハイライト


★スタッツ比較はこちらから
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/rugby-analysis-wc19/

★チーム別キック分析
開幕戦の両チームトータルのキック数70回に対して、2戦目は37回と、初戦に比べて少ないキック数の試合でした。日本のキックは18回で全体としては右側へのキックの方が多かったです。


アイルランド代表のキックは19回で、日本より1回多かったです。左側へのキックが7回、右側へのキックが11回と、右側へのキックが比較的多かったです。


日本の前半と後半を比較すると、前半はタッチラインに逃げるキックが5回と、半数以上が流れを切るようなキックで、後半はそのようなキックは1回でした。


アイルランドの前半は相手ゴールライン付近では右側へキックする傾向でした。後半は左側へのキックが増えました。


★アイルランドのキック分析
アイルランドのキックですが、試合を通して右側を狙っていたことが、敵陣でのキック軌道から見られます。


特に前半は右側のみで、チームとして右ウィングを狙っていたと捉えられます。後半はその傾向は見られず、日本陣地に攻め込む機会が減ったことや、日本に対応され出したことが影響していると考えられます。


全体としてキックの多い試合ではなかったですが、アイルランドはキックで右ウィングを使う狙いを持っていたと考えられ、そこからトライを奪っていました。

日本はロシア戦では32回キックしていたのに対して、アイルランド戦は18回と約半数になっており、キックを重視して戦ってなかったと捉えられます。アイルランド戦ではロシア戦から戦術を大きく変えて勝利を掴んだと言えます。多様な戦術で戦うことができる日本代表が、次のサモア戦ではどういった戦術を見せてくれるのか?をキックに着目しながら見てみると面白いかもしれないです。

プロフィール:森田岳 (Gaku Morita) エバンジェリスト/アナリスト

自動車業界出身で社会人サッカーチームの運営/監督/選手経験を持つ。サッカーに関するスタッツ・客観的なデータをこよなく愛し、戦術ボードアプリ「Tactical Board」の開発者でもある。尊敬する指導者はマヌエル・ペジェグリーニ。

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