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【ラグビーW杯2019】日本代表vsロシア代表でのキック戦術分析

2019.09.27 written by Gaku Morita

アジア初開催となったラグビーW杯。開幕戦で日本代表はロシア代表と戦い、30-10で見事勝利。今回はその試合の中で、過去3年で2倍以上も試行回数が増えた「キック戦術」に着目。キックの軌道や位置について集計したデータをビジュアル化し、試合の流れにおける日本のキックの狙いを分析してみました。

※これらのデータはSPLYZA Teamsによって集計されています。

★試合ハイライト


★スタッツ比較はこちらから
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/rugby-analysis-wc19/

★チーム別キック分析
両チーム共にキックは比較的多かった試合。日本代表は中央低い位置から外方向にキックをする傾向がみられます。


ロシア代表も中央から外にキックする傾向がみられますが、タテ方向へのキックも多用していました。


日本とロシアを比較すると、日本は低い位置からタッチラインに向けてキックしていたのに対して、ロシアは高い位置から、タッチラインばかりでなく中央にもキックしていました。


★田村優選手キック分析
日本代表の中で最もキックしていたのは背番号10の田村優選手。日本の約5割のキックが田村選手によるものでした。


その田村選手のキックは前半と後半で大きく異なります。前半は両サイドにキックを振り分けていたのに対して、後半は右サイドへのキックのみ。前半の戦況を受けてハーフタイムで指示があったのかもしれないです。チームの狙いが田村選手のキックに現れていると思われます。


試合終盤(66分)に田村選手は松田選手と交代。その松田選手のキックは3本中3本が左サイド。これもチームの狙いであったと思われます。


前半は基本的に中央から左右に向けてキック。前半の様子を見て、右サイド攻撃が有効と判断し、田村選手を中心に右サイドへキック。その後、相手が右サイドへのキックに慣れてきたところを見計らって、選手交代後は左サイドに向けてキック。という日本の狙いがあったと想定できます。

右ウィングの松島選手が3トライしていることから、右サイド攻撃は機能しており、狙いが当たったとも言えそうです。このようにキックからチームの狙いを汲み取れます。次のアイルランド戦ではどのようにキックを使うのか?田村選手はどこからどこへキックするのか?に注目してみても面白いかもしれないです。

プロフィール:森田岳 (Gaku Morita) エバンジェリスト/アナリスト

自動車業界出身で社会人サッカーチームの運営/監督/選手経験を持つ。サッカーに関するスタッツ・客観的なデータをこよなく愛し、戦術ボードアプリ「Tactical Board」の開発者でもある。尊敬する指導者はマヌエル・ペジェグリーニ。

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