【フランス女子W杯(2019)】スコットランド代表vsイングランド代表 マッチレポート「統計解析向けのプログラミング言語「R」を駆使したスカウティングレポート」

2019.06.14 written by Gaku Morita(SPLYZA Inc.)

現在、女子サッカーワールドカップフランス大会の真っ最中。初戦はアルゼンチン代表を相手に0-0で引き分けという結果に終わった日本代表ですが、二戦目の相手はスコットランド代表です。そのスコットランド代表をStatsBombが公開しているイングランド代表戦のデータから統計ソフト「R」を使ってビジュアル化し、スカウティング分析してみましたのでそのレポート記事となります。

**

スコットランドは、イギリスの北に位置し、人口540万人ほどで、女子ワールドカップ初出場。今年CLを制したリバプールに所属するアンドリュー・ロバートソン選手を輩出した国でもあります。現在のFIFAランキング(女子)では、7位である日本に対し、スコットランドは20位となっています。

▼女子サッカーFIFAランキング

その女子スコットランド代表は初戦、強豪イングランドに対し2-1で惜敗。ハイライトはこちら↓
https://youtu.be/77rKhlanu8U


▼スコットランド代表(vs イングランド代表)スタメン

初戦におけるスコットランド代表のスタメンはこちら。フォーメーションは「4-2-3-1」という表記で、得点者は右サイドのEmslie選手。


ここからStatsBombのデータを見ていきます。まずはイベントデータから算出された、守備時と攻撃時の平均位置です。守備時は1人を残して引くような形です。攻撃時は右サイドのEmslie選手が最も高い位置をとってます。

▼非保持(守備)時:平均ポジション

▼保持(攻撃)時:平均ポジション


またボールに関与した数を「バブルチャート」で表現した図がこちらです。左サイドバックのDocherty選手は他の選手と比較してプレー機会が少なかったようです。

▼非保持(守備)時:バブルチャート

▼保持(攻撃)時:バブルチャート


以下、守備時と攻撃時を組み合わせたアニメーションです。スコットランド代表の右サイドが活発に動いてるように見えます。

▼非保持/保持の平均ポジションの変化:アニメーション


最後に選手別にデータ集計された個人スタッツです。シュート/ドリブル/縦パス/ロングパスに関するそれぞれのデータをみていきましょう。

▼シュート

シュートが最も多いのはこの試合得点したEmslie選手。表示上は右サイドに位置していますがフィニッシャーとしての役割を担っていました。


▼ドリブル

ドリブルはLittle選手とCuthbert選手の回数が多め。中央に位置する選手がドリブルで積極的に前に運んでいたことがデータに現れています。


▼縦パス

Beattie選手が最多縦パス数をアテンプトしています。データ上は中央の左側から攻撃方向にボールが動く機会が多かったことを示しています。


▼ロングパス

ロングパスが多いのはゴールキーパーのAlexander選手、その次に左サイドバックのDocherty選手です。

**

スコットランド代表は、センターバック左側、そしてMFの中央を経由して最後は右サイドのEmslie選手というオフェンシブルートが軸であることがデータから判明しました。日本代表としては、まずはフィニッシャーのEmslie選手に警戒する必要があるでしょう。またドリブルを仕掛けてくるLittle選手とCuthbert選手に対しては効果的にプレッシングすることでボールを奪い、チャンスにつなげることで試合を優位に進められる可能性もあります。今回は過去一試合のみのデータ分析ですが、スコットランド代表の動きと警戒すべき選手は見えてきました。あとは気持ちを見せて戦ってほしいですね!頑張れニッポン!

プロフィール:森田岳 (Gaku Morita) 分析エバンジェリスト

自動車業界出身で社会人サッカーチームの運営/監督/選手経験を持つ。サッカーに関するスタッツ・客観的なデータをこよなく愛し、戦術ボードアプリ「Tactical Board」の開発者でもある。尊敬する指導者はマヌエル・ペジェグリーニ。

Twitter