【2018-19 UEFAヨーロッパリーグ】Best16 - SSCナポリ x FCレッドブル・ザルツブルク 1stLeg マッチレビュー

2019.03.08 written by Daichi Kawano(SPLYZA Inc.)

日本時間で今朝(3/8・金)に行われたUEFA ELベスト16 SSCナポリvsFCレッドブル・ザルツブルク(UEFAのコンペティションだと本当はFCザルツブルク表記ですが、細かいことを説明すると面倒なのでレッドブル表記とさせてください!)のマッチレビューです。今回は「ほぼインフォグラフィックのみ」で試合を振り返ってみます。

▼SSCナポリ スターティングフォーメーション

ラウル・アルビオルが怪我で離脱中のためヒサイが右SBに入りマクシモビッチがCBに。インシーニェはベンチスタート。

▼FCレッドブル・ザルツブルク スターティングフォーメーション

守備の要ポングラチッチが怪我でオンゲネがスタメン、出場停止明けのラマーリョが復帰。クラブ・ブルッヘとの戦いで好調だったFWのダカが引き続き先発。

▼前半20分までのナポリのパスコンビネーション

この試合が開始20分でほぼ決着がついたのでパスデータの取得はその時間までにしています。後述しますがナポリは基本的に左偏重攻撃+守備ということも影響してか左サイドのマリオ・ルイが最多でパス成功。次点でクリバリ、レシーブ成功もクリバリがトップ、次点がマリオ・ルイとなっています。

▼前半20分までのザルツブルクのパスコンビネーション

ザルツブルクはナポリの効果的なプレスと誘導によりパスコースが限定されたこともあり本数自体も少なめに。出し手と受け手ともにラマーリョが最多となりましたが、ここを執拗にナポリに狙われディフェンスラインでミスも連発。またダブールとヴォルフもパスこそ受けますがボールロストが際立ちました。

▼前半20分までのナポリのパスネットワーク図

ナポリはポゼッション時にマリオ・ルイが左大外に張り出し、カジェホンとともに幅を取ります。そしてDFラインは右SBのヒサイが最終ラインに入りマクシモビッチ、クリバリとともに3バックとなる陣形を取ります。中盤のアランとファビアンが効果的に入れ替わりザルツブルクのプレッシングを無効化。またオフェンス時は相手のアンカー脇をしつこく殴り続けました。ミリク+メルテンスのファースト・プレスラインは非常に効果的で、ザルツブルクのビルドアップを機能不全に陥れた上、左サイドへの誘導を図りナポリのペースで試合を進めることに成功します。

▼前半20分までのザルツブルクのパスネットワーク図

開始20分間、両CBであるラマーリョとオンゲネにはパス交換が1本もありませんでした。これはナポリのミリクかメルテンスが必ず2人の間に入り、ビルドアップのルートを限定していたためです。またオンゲネからサマセクにも1本もパスが出ていないことからも、オンゲネが孤立させられていたことがデータからも狙いとして見えてきます。ザルツブルクの攻撃の起点、ホットラインでもあるこのGK+CB+DMFの連携を打ち消されたことにより、チーム赤べこは序盤から大混乱に陥っていました。策士アンチェロッティおそるべしです。

▼xGplot 両チームのゴール期待値

1点はオウンゴールですので、ほぼゴール期待値通りといったところでしょうか。ただ、データ以上にピッチ上の赤チーム側には絶望感が漂っており、ファイナルサードに侵入するたびにクリバリとマクシモビッチというアジリティも兼ね備えた大男2人に立ちはだかれ、枠にシュートを飛ばしたところで全てをメレトに塞がれるというなかなかの状況でした。次節はこの山脈2枚が累積警告で出場停止となりますが、果たしてザルツブルクに打つ手はあるのか…。

▼アタック・モメンタム(推進力) 90分間の推移

ご覧の通り前半の序盤にナポリが猛攻を仕掛け、勝負のほとんどを決めてしまいました。ザルツブルクも最終盤に攻め込みますが時すでに遅し。ナポリの堅守を打ち破ることは最後までできず。アウェーゴールを1ゴールも挙げることができないままイタリアの地から離れることとなりました。

▼1stLegにおける最終スタッツ比較

最終スタッツの比較です。この試合をDAZNで担当していた実況の福田さんも仰っていましたが、90分を通して試合を観ると点差(データも含めて)以上の実力差がナポリとザルツブルクにはありました。マルコ・ローゼ監督は4-4-2の布陣でもディフェンスの局面ではおそらく意図的にボックスを組まず、両サイドハーフのシューラーガーとユヌゾビッチのオフェンス力を最大限に活かすために攻撃的な采配をとったようですが、結果3点差という受け入れがたい状況となりました(2失点目で怒りのあまりジャケットを脱ぎ捨ててましたが、きっと暑かったのでしょう!)。セカンドレグは勝ち上がるために最低でも3ゴール以上が必要になったザルツブルク、背水の陣で真価が問われることに。次の試合では更なるリスク覚悟のファイヤーフォーメーションに期待しています!!